小田原の自転車専門店

【保存版】Vブレーキシューの交換時期と正しい交換手順|プロが解説する安心メンテナンス術

Vブレーキシュー交換方法の準備 BC-9 Vレーキシュー

※記事の中にアフィリエイト広告を利用しています。

はじめに:ブレーキシューの重要性

この記事は、2025年5月8日に最新情報を追記・更新しました。
「自転車初心者向け完全ガイド:プロが教えるVブレーキシュー交換とタイミングの見極め方]に関する事を反映しています。

自転車のブレーキは、命を守る最重要パーツです。中でもVブレーキは、クロスバイクやマウンテンバイクなど幅広く使用されているブレーキシステムで、制動力が高く、メンテナンスもしやすいのが特徴です。

その中核を担うのが「ブレーキシュー」。この部品はリムに直接当たって摩擦を起こし、自転車を止める役割を果たします。しかし、使用とともに確実に摩耗し、性能が低下していきます。適切なタイミングで交換することで、事故のリスクを防ぎ、安全性を保てます。

Vブレーキシュー交換タイミング目安とは?

Vブレーキシューの交換時期は使用環境や走行距離によって異なりますが、以下の基準を参考にしてください

  • 溝の深さがほぼ消えている
    ブレーキシューには新品時に深い溝があります。この溝がほぼ消えると、交換のサインです。
  • ブレーキ時に異音がする
    キィーッという音や異常な振動を感じたら、ブレーキシューの摩耗や異物混入の可能性があります。
  • 雨の日にブレーキが効きにくくなる
    濡れた路面で効きが悪くなってきたら、ゴムが劣化しているサインです。

必要な道具

Vブレーキシュー交換方法の準備 BC-9 Vレーキシュー
  • 六角レンチ工具(アーレンキー):シューの取り付け・取り外しに使用します。
  • 速乾性ブレーキ&パーツクリーナー:リムの汚れを落とすために使用します。
  • 使い古しのタオル:クリーナーで汚れを拭き取る際に使用します。
  • 新しいVブレーキシュー:交換用のシューを用意します。

作業手順

  1. ブレーキワイヤーの取り外し
    Vブレーキのリードパイプをブレーキ本体から外し、ブレーキケーブルを解除します。
  2. 古いブレーキシューの取り外し
    六角レンチ工具を使用して、古いブレーキシューを取り外します。この際、スペーサーの配置を記録しておくと、取り付け時に役立ちます。
  3. リムの清掃
    速乾性ブレーキ&パーツクリーナーをタオルに吹き付け、リムの汚れを拭き取ります。リムが汚れていると、新しいシューの性能が発揮されません。
  4. 新しいVブレーキシューの取り付け
    スペーサーの配置やシューの向きに注意しながら、新しいブレーキシューを取り付けます。シューがリムの上部より数ミリ下にくるようにし、進行方向に対して少し八の字になるように角度を調整します。
  5. ブレーキワイヤーの再取り付けと調整
    ブレーキレバーのアジャスターネジを初期設定に戻し、ブレーキケーブルを元の位置に取り付けます。ブレーキレバーを数回握り、引きしろを確認します。必要に応じて、ブレーキアーチ本体横のネジで左右のクリアランスを調整します。

それでは実際に、画像を交えてVブレーキシュー交換の作業手順を詳しく解説していきます。

1.Vブレーキワイヤーの取り外し

Vブレーキシュー交換方法 Vブレーキ本体ワイヤー外す 

Vブレーキシューを交換する前の作業として、Vブレーキアーチ本体のリードパイプと言われる部分(手で持っている箇所)の本体に引っ掛けてある部分から外します。

Vブレーキシュー交換方法 Vブレーキ本体からケーブルを解除

リードパイプをブレーキ本体から取り外しブレーキケーブルをVブレーキアーチ本体から解除します。

これで先ずは準備完了です。

2.古いブレーキシューの取り外し

Vブレーキシュー交換方法 Vブレーキシュー取付

古いVブレーキシューを六角レンチ工具(5mm)を使用して取り外します。

この時、Vブレーキのテンション調整棒が邪魔でしたらこのようにアーチ本体の引っ掛けフック部から取り外すと作業しやすいと思います。

Vブレーキシュー交換方法 古いVブレーキシュー

取り外した使用済のVブレーキシュー

3.リムの清掃

BC-9を布に噴射

準備した、使い古しのタオルにワコーズBC-9(速乾性ブレーキ&パーツクリーナー)を噴射して、Vブレーキシューを取り付ける前の準備としてリムサイドの汚れ等を落としておきます。

そのまま、Vブレーキシューだけを新品に交換しても、ブレーキの当たるリムサイドが汚れていたままでは、制動力にも影響が出てきますので、この作業は必ず忘れないようにしてください。

リムサイドの汚れ落し

まんべんなくリムサイドの汚れを速乾性スプレーですので素早く拭き取っていきます。

リムサイドの汚れ

この汚れ落しと脱脂作業を、するとしないのでは大違いです!

この作業についての詳しい内容は,こちらのコスナブログ記事で紹介していますので参照してください。

自転車ケミカル商品おすすめ「ワコーズ BC-9」速乾性ブレーキ&パーツクリーナー

4.新しいVブレーキシューの取付

Vブレーキシュー交換方法 Vブレーキシュー取付金具

新しVブレーキシューを取り付ける前に、スペーサーの厚みや向きも間違えないように注意してください。

分かりずらい時は、外した使用済のVブレーキシューのスペーサー等の厚みの位置を参考にするといいと思います。

ワンポイントアドバイス
スマホのカメラを利用して画像保存しながら作業すれば、部品の位置などど忘れしても安心ですよ!

Vブレーキシュー交換方法 新しVブレーキシュー取付

新しVブレーキシューをスペーサーの厚みや向きに気を付けて取付します。

ブレーキシュー取付後は、必ずブレーキテンション用の棒を元の位置ブレーキ本体の取付フック部にかけてください。忘れないように。

ワンポインアドバイス
Vブレーキシュー本体がリムサイドの上部より数ミリ下にして取り付けます。

更に、Vブレーキシュー取付角度を進行方向に対して両方のブレーキシューを取り付けた時に、少しだけ八の字になるように後部を開いた感じにして取り付けてください。

これにより、ブレーキをかけた時に「キィ~ッ!」と音鳴りするのを防いでくれます。

※シマノ製のブレーキシュー以外の場合は、ブレーキゴム質に硬さの違い等により取付角度を変える場合もありますので、ご自分で取付交換する時は、取付後の試乗で音鳴りを確認しながら作業をしてください。

5.ブレーキワイヤーの再取り付けと調整

Vブレーキシュー交換方法 ブレーキ調整ネジ

Vブレーキワイヤーケーブルを元に戻して取り付ける前に、ブレーキレバー本体のブレーキアジャスターネジを使用していた場合は初期設定時に戻すのをお忘れなく。

Vブレーキシュー交換方法 ブレーキ調整ネジ締めこむ

このように、アジャスターネジ部をしっかり奥まで締めておいてください。

Vブレーキシュー交換交換方法 Vブレーキワイヤーはめる

Vブレーキのリードパイプを留め具にしっかり挟みこんでください。

Vブレーキシュー交換方法完了

ブレーキケーブルが金具にきちんと止まったかを確認します。

Vブレーキシュー交換方法 ブレーキレバー握りワイヤー伸び調整

ブレーキレバーを何度か握り、ケーブルの引きしろを確認します。

Vブレーキシュー交換方法 ドライバーで片効き調整

Vブレーキシューの左右のクリアランスバランス調整は、ブレーキアーチ本体横のネジで調整します。

時計方向に回すとブレーキアーチテンションが高くなりリムとのクリアランスが開きます。

逆に反時計方向に回すとブレーキアーチテンションは低くなりクリアランスは狭くなります。

この場合は、プラスドライバーで行うタイプですが、モデルによっては細い六角レンチのタイプもあります。

詳しくは、こちらコスナブログ記事で紹介していますので参照してください。

初心者必見!クロスバイクVブレーキ片効き調整方法

Vブレーキシュー交換方法完了

これで、Vブレーキシュー交換の終了です。

注意点とアドバイス

  • スペーサーの配置:取り外した際に、スペーサーの順序や向きを記録しておくと、取り付け時に迷わず作業できます。
  • 音鳴りの防止:シューの取り付け角度を調整することで、ブレーキ時の「キィー」という音鳴りを防ぐことができます。
  • 金属片の確認:ブレーキシューに金属片が挟まっていると、リムを傷つける原因になります。定期的に確認し、異物があれば取り除きましょう。

メンテナンスのポイントとQ&A

Q1:ブレーキシューは前後セットで交換する必要がありますか?

→ 前後の摩耗度が違う場合は、状態を見て個別に交換も可能ですが、左右のバランスを考慮して同時交換が推奨されます。

Q2:シューの種類にはどんなものがありますか?

→ リムの素材により、アルミ用、カーボン用などがあります。間違ったタイプを使うと制動力が落ちることもあるので注意が必要です。

まとめ

Vブレーキシューは命に関わるパーツだからこそ、正しいタイミングでの交換と確実な取り付けが大切です。Vブレーキシューの制動力の安定のためにも、リムサイドの黒ずみ等の汚れは早めに拭き取っておいてください。

普段からシューの摩耗状況を確認し、異音やブレーキの利きに違和感を覚えたらすぐにチェックしましょう。あなたの大切な自転車ライフを、安全で快適に保つために、ぜひ定期的なメンテナンスを習慣化してください。

投稿者プロフィール

小砂恵三
小砂恵三コスナサイクル店長
宮田工業(現在:ミヤタサイクル)での研修を得て、インショップ形式の自転車店の店長に就任。その後家業を継ぎ自転車のメンテナンス、販売に従事して35年以上。
自転車専門資格として「自転車安全整備士」「自転車技士」「スポーツBAA PLUS」「自転車組立整備士」などを保有。
現在はコーダブルームやパナソニックといったスポーツ自転車から電動アシスト自転車までを幅広くカバーするサイクルショップ、コスナサイクルを運営。