
自転車を止めるたびに「キーッ」と鳴るあの音。
実は、ブレーキが「ちょっと助けて」と伝えているサインなんです。
壊れたわけではなく、多くの場合はグリスの劣化や偏りなど、内部の潤滑状態が崩れていることが原因です。
シマノのローラーブレーキは、油圧式でも機械式でもなく、金属ローラーと専用グリスが絶妙なバランスで摩擦を制御する構造になっています。
このバランスが崩れると、金属が直接こすれ、異音が発生してしまいます。
この記事では、ローラーブレーキの仕組み→原因→対策の流れで、「直す前に理解する」ための整備知識をまとめました。
読んだあとには、「なぜ音が鳴るのか」が自然と腑に落ちて、次のメンテナンスがぐっとやりやすくなります。
詳しい整備手順については、こちらのリライト更新しました本文「【完全ガイド】シマノローラーブレーキの仕組みと音鳴り対策:正しいグリスアップ方法」コスナブログ記事を参考にしてください。
ローラーブレーキの内部には、金属の動きをスムーズにする専用グリスが入っています。
ところが、長く使ううちにグリスが乾燥・劣化してしまい、粘り気を失うことがあります。
すると、金属同士が直接こすれあい、「キーキー」という高音が出てしまうんです。
特に、夏場の高温や長距離走行、雨上がりの放置などが重なると、内部温度が上がってグリスが酸化・蒸発します。
まさに、金属が「もう少し油を!」と訴えている状態です。
意外と多いのが、グリスの注入ミスです。
片側だけに入れたり、多く入れすぎると、ローラーの回転が偏ってしまいます。
その結果、内部の圧力バランスが崩れ、ブレーキをかけるたびに周期的な異音が出ます。
グリスは「量」よりも「分布」が大切です。
少なすぎても多すぎても、静かなブレーキは保てません。
注入後にホイールを回して、グリスが内部全体にいき渡るようになじませておくといいです。
ブレーキをかけたときに「カチカチ」と小さく響く音がする場合、原因はユニットの固定部の緩みであることが多いです。
ローラーブレーキユニットは、ハブ軸とフレームの間でしっかり固定されて動かない構造になっています。
この締結が少しでも緩むと、ブレーキをかけた瞬間にユニット全体がわずかに動き、金属同士が当たって音を出します。
とくに後輪で起こりやすく、長期間整備していない車体や、荷物を多く積む自転車では注意が必要です。
「音が鳴るけど効きは悪くない」というケースでも、実際にはユニットが動いていることがあります。
対処法はシンプルで、フレームとのローラーブレーキ本体の締結部をチェックして増し締めすること。
必要に応じて、一度ブレーキユニットを外して位置を整え直すのも効果的です。
締め直したあとに再度試走して、音が消えていれば問題解決。
それでも残る場合は、固定部周辺に微細なガタつきがある可能性があるため、ショップで点検してもらうと安心です。
原因を理解したら、次は正しいグリスアップです。
使うのは必ず純正グリス。
シマノ純正のものは粘度や耐熱性がブレーキ内部に最適化されているため、社外品を使うと再び音が出ることがあります。
注入口から少しずつグリスを入れ、ホイールを回しながら全体に行き渡らせます。
すぐに走行せず、少し空回しして金属のなじみ具合を確認すると安心です。
整備と聞くと難しく感じますが、仕組みを理解すれば手順は意外とシンプルです。
「どこまで分解していいのか」「どのくらい入れるのがちょうどいいのか」を理解すれば、誰でも自分で整備できるようになります。
整備が終わっても、定期点検は欠かせません。
3〜6ヶ月ごとにグリスの状態をチェックして、硬化や汚れを早めに見つけておくとトラブルを防げます。
特に坂道をよく走る方や、通勤で毎日使う方は、ブレーキの使用頻度が高く劣化も早めです。
「音がしたら点検」を習慣にしておくと、ブレーキの寿命がぐっと延びます。
ブレーキも人と同じで、無理をすると声を出します。
その“声”を聴けるようになると、整備がもっと楽しくなります。
静かな制動の裏には、メンテナンスする人の「耳の良さ」があるんです。
ローラーブレーキの構造をさらに詳しく知りたい方は、
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