小田原の自転車専門店

コーヒーかすは捨てない|1年続けた再利用と京都mame-ecoへの循環の記録

乾燥させて1年分ためたコーヒーかすと使用済みコーヒーカプセル

※記事の中にアフィリエイト広告を利用しています。

結論からお伝えすると、コーヒーかすは捨てなくても、きちんと循環させることができます。

それは、特別な設備や専門知識がなくても、日常の延長線上で続けられる行為でした。

私自身、環境問題に強い意識を持っていたわけではありません。

それでも、ある一冊のフリーペーパーとの出会いが、毎日のコーヒーとの向き合い方を少し変えました。

35年以上前の友人との記憶を起点に、1年間コーヒーかすを貯め続け、京都のmame-ecoプロジェクトさんへ送るまでの実体験を、そのままの流れで記録しています。

完璧な取り組みではありません。

ただ、「これなら自分にもできるかもしれない」と感じた、その感触を残したいと思いました。

これは環境活動の成功談ではなく、日常の中で続いている小さな循環の話です。

一冊のフリーペーパーから始まった循環

約1年3ヶ月前、季刊誌『サイクル』2024年10月号(No.63)が、お店に届きました。

何気なくページをめくり、裏面に目をやった瞬間、思わず手が止まりました。

そこに写っていたのは、どこか見覚えのある顔写真と名前でした。

その人物は、アメリカ・ロサンゼルス出身の友人でした。

彼との出会いは、今からおよそ35年前に遡ります。

彼が英語教師としてアメリカから小田原へやって来た頃、マウンテンバイクが日本で注目され始めた時代でした。

私たちはよく一緒に、小田原近郊の山へトレイルライドに出かけていました。

山道を走り、汗をかき、楽しかった日々の記憶は、今も鮮明に残っています。

彼はその道を、私の名前から「Keizoトレイル」と名付けていました。

その数年後、私は彼を訪ねてアメリカ・ロサンゼルスへ旅行にも行きました。

異国の地で再会し、再び語り合った時間は、かけがえのない思い出です。

そんな彼の名前を、季刊誌『サイクル』2024年10月号(No.63)で目にする日が来るとは、当時は想像もしていませんでした。

京都で続いていた、静かなコーヒーかすの循環

記事を読み進めると、彼は京都の町中を自転車で走り回り、コーヒーかすを回収していると書かれていました。

なぜコーヒーかすなのか、最初は少し不思議に感じました。

しかし、読み進めるうちに、その理由はとても自然なものだと感じるようになりました。

コーヒーは、多くの人にとって日常の一部です。

飲み終えた後には、必ずコーヒーかすが残ります。

そのかすには養分が含まれているにもかかわらず、多くの場合、そのままゴミとして捨てられてしまいます。

「捨てる以外の選択肢はないのだろうか。」

そんな疑問から、彼と奥様は2020年に「mame-ecoプロジェクト」を立ち上げました。

集めたコーヒーかすを、京都近郊の農家さんへ手渡し、堆肥として土へ還す。

その土で育った野菜が、再び人の食卓に戻ってくる。

記事の中には、無理のない循環の姿が、淡々と描かれていました。

mame-ecoコーヒーかす再生プロジェクトについては、公式サイトmame-ecoで、その活動の様子が紹介されています

「これなら自分にもできる」と思えた理由

この記事を読んだとき、私は強い使命感を抱いたわけではありません。

ただ、素直に「これならできそうだ」と感じました。

毎日飲んでいるコーヒーを、少しだけ違う目で見る。

それだけで、行動は始められるのだと気づきました。

環境のために何か大きなことをしようとすると、どうしても身構えてしまいます。

けれど、すでに生活の中にある行為であれば、無理なく続けられるかもしれません。

完璧である必要も、誰かに評価される必要もありません。

この「続けられそう」という感覚が、私にとっては何より大切でした。

私のコーヒーかす再利用ルーティン(1年間の記録)

それから私は、コーヒーを飲むたびに、かすを捨てずに残すようになりました。

特別なことをしているわけではありません。

日々の流れの中で、同じ手順を淡々と繰り返してきました。

コーヒーかすの乾燥手順7ステップ(実際にやっている方法)

以下は、私が1年間続けてきた、コーヒーかすの乾燥と保管の流れです。

写真はすべて、実際の作業をスマートフォンで撮影したものです。

ドルチェグストで飲み終えたあとのカプセル

ドルチェグストでコーヒーを飲み終えたあとのカプセル

この日常の一杯から、循環は始まりました。

コーヒーを飲み終えたら、カプセルはすぐに捨てず、そのまま手元に置きます。

② 上部をカッターナイフで切り取る

コーヒーカプセルの上部をカッターナイフで切り取っている様子
カプセルの上部を、カッターナイフで静かに切り取ります

特別な道具は使っていません。

カプセルの上部をカッターナイフで切り開き、中が見える状態にします。

③ 内部のコーヒーかすを取り出す

カプセルの中からコーヒーかすを取り出しす前
中に残ったコーヒーかすを取り出す前

ここから、次の工程へ進みます。

中に入っているコーヒーかすを取り出します。

④ 小さなカップで一次乾燥

小さなカップに入れてコーヒーかすを乾燥させている様子
取り出したコーヒーかすを、小さなカップに移して一次乾燥

先ずは余分や水分をある程度抜くため急がず、小さなカップに移してそのまま1日置いておきます。

このひと手間の作業を行うことで、コーヒーかすがより細かくなり乾燥も早くなります。

⑤ バケツへ移す

バケツに入れたコーヒーかすを手でかき混ぜて乾燥させている様子
ある程度乾いたら、保管用のバケツに移す

1日乾燥させた小さなカップから今度はバケツに移して湿気がこもらないよう、毎日、手でやさしくかき混ぜてサラサラ状態を保ちます。

⑥1年かけて貯めたコーヒーかす

1年間かけて乾燥させてためた大量のコーヒーかす
1年間かけて乾燥させてためた大量のコーヒーかす

バケツには、これだけの量が溜まりました。

この作業を、毎日でなくても、思い出したときに続けてきました。

気づけば、バケツには1年分のコーヒーかすが溜まっていました。

⑦梱包して京都へ送付

乾燥させたコーヒーかすを袋に詰めて段ボールで梱包した様子
乾燥させたコーヒーかすを袋に詰めて段ボールで梱包した様子

十分に乾燥させたあと、袋に詰めて京都へ日常の行為が、次の場所へ向かいます。

バケツ一杯分のコーヒーかすを京都へ送るまで

コーヒーかすがバケツ一杯分になった頃、私は京都の友人に連絡をしました。

このコーヒーかすを送っても良いか、事前に確認するためです。

一方的な自己満足にならないよう、相手の状況を尊重したいと考えました。

快く了承してもらえたことで、ようやく次の行動に移ることができました。

コーヒーかすを丁寧に梱包し、小田原から京都へ送りました。

荷物を発送した後、これまでの1年間のことを、静かに振り返りました。

京都は、私にとって思い出のある土地です。

その京都で、ほんのわずかでも役に立てるかもしれないことを、素直に嬉しく思いました。

毎日の小さな行為が、確かに次の場所へつながった瞬間でした。

コーヒーかすが、野菜の栄養になるまで

mame-ecoプロジェクトでは、地域の方々の協力のもと、コーヒーかすを集めています。

集められたコーヒーかすは、京都近郊の農家さんへ手渡されます。

堆肥として土に還り、野菜や作物の栄養になります。

2025年12月末の時点で、回収量は88トン。

数字だけを見ると大きく感じますが、その一つひとつは、誰かの日常の積み重ねです。

派手さはありませんが、確かな循環が、そこにはありました。

コーヒーかすは、家庭でも再利用できる

コーヒーかすの行き先は、必ずしも畑だけではありません。

少し調べてみると、家庭でも無理なく使える方法が、いくつかあるようでした。

コーヒーかすには、脱臭効果があると言われています。

靴箱や玄関、冷蔵庫などの匂い対策として使われることが多いようです。

実際に使ってみた、という声も目にしました。

今回、集めたコーヒーかすは、初めて京都のmame-ecoさんへ送りました。

なお、宅配便での送料は、自己負担でお送りしています。

それでも、分かりやすい使い道があると知ったことで、コーヒーかすとの距離が少し縮まったように感じました。

乾燥させたコーヒーかすを小さな容器に入れ、靴箱や玄関に置くと匂い対策になる、という話も聞きます。

冷蔵庫の片隅に置いている、という例も見かけました。

植木鉢のまわりに少量混ぜている方もいるようですが、水分が多いと逆効果になることもあるため、注意が必要だと感じています。

排水口や三角コーナーの匂い対策、軽い掃除での研磨用途として使われることもあるようです。

ただ、すべてをやろうとしなくていいと思っています。

知っておくだけで、選択肢が少し増える。

それくらいの距離感が、続けやすいのかもしれません。

コーヒーかすを再利用するときに気をつけていること

1年間続けてきて、一番大切だと感じているのは乾燥です。

水分が残っていると、匂いが出たり、状態が変わってしまうことがあります。

そのため、無理に急がず、しっかり乾かすことを意識しています。

バケツに貯まったコーヒーかすは、日々、手でやさしくかき混ぜています。

「完璧なエコ」を目指さなくていいと思っている理由

この取り組みを始めた頃、どこかで「ちゃんとやらなければ」という気持ちがありました。

しかし、続けていくうちに、その考えは少しずつ薄れていきました。

完璧を目指すと、息切れしてしまいます。

できない日があると、自分を責めてしまうこともあります。

それよりも、できる日に、できる分だけ。

続けられる形を選ぶことの方が、結果的に長く続くように感じました。

これは誰かに伝えたいというより、自分自身に言い聞かせていることなのかもしれません。

コスナサイクルの日常として、これからも

この取り組みを通じて、私の生活が劇的に変わったわけではありません。

それでも、物の行き先を、少し意識するようになりました。

捨てる前に、別の選択肢がないかを考えるようになりました。

それだけで、日常の見え方は、ほんの少し変わります。

私はこれからも、コーヒーを飲み、かすを乾かし、バケツに入れ続けます。

無理をせず、気負わず、続けられる形で。

この静かな循環が、どこかで誰かの役に立つことを願いながら。

投稿者プロフィール

小砂恵三
小砂恵三コスナサイクル店長
宮田工業(現在:ミヤタサイクル)での研修を得て、インショップ形式の自転車店の店長に就任。その後家業を継ぎ自転車のメンテナンス、販売に従事して35年以上。
自転車専門資格として「自転車安全整備士」「自転車技士」「スポーツBAA PLUS」「自転車組立整備士」「BAAアドバイザー」などを保有。
現在はコーダブルームやパナソニックといったライトスポーツ自転車から電動アシスト自転車までを幅広くカバーするサイクルショップ、コスナサイクルを運営。