
2026年10月10日(土)、第2回小砂恵三トークショー「Meu Lado(メウラード)」を開催しました。
今回のテーマは「AIと共存」です。
普段は自転車の販売や修理をしている私が、この約1年半、AIとどのように向き合い、仕事の中で何を学んできたのか。その実体験を、参加してくださった皆さまにお話ししました。
当日は、実際に使用しているChatGPTの画面を紹介したり、参加者の皆さまからいただいた言葉を使って、AIによるタイトルの提案や画像生成を実演したりしました。
大型ディスプレイの画面をご覧いただきながら、皆さまと一緒にAIについて考える時間となりました。
今回のトークショーの開催にあたっては、事前に「AIと共存」というテーマに込めた想いを、第2回トークショーの開催案内でもご紹介しています。

実は、第1回トークショーの最後に、次の機会があれば「AI活用術」についてお話ししたいとお伝えしていました。
しかし、その後、私は少し考えるようになりました。
AIの便利な機能や操作方法を紹介するだけでは、私が本当に伝えたいこととは少し違うのではないか。
AIには文章を書いたり、情報を整理したり、さまざまな仕事を手伝ってもらえる可能性があります。
けれども、AIと一緒に仕事をするようになって気付いたのは、便利さや効率だけではありませんでした。
AIに何をお願いするのか。どこまで任せるのか。そして、最後は誰が判断するのか。
そんなことを考える機会が増えていったのです。
そこで今回は、単なる使い方の紹介ではなく、「AIと共存」というテーマに変更しました。
AIの専門家としてではなく、地域の小さな自転車店を営む一人の店主として、自分が経験してきたことをお話ししたかったのです。
私がChatGPTを使い始めたのは、コスナブログの記事制作がきっかけでした。
以前は、記事のテーマを考えるところから構成、執筆、編集、画像の準備、公開後の分析まで、ほとんどの作業を自分一人で行っていました。
お店の仕事を終えてから、深夜までパソコンに向かうことも珍しくありませんでした。
そんな作業をChatGPTに相談するようになると、以前よりも効率よく進められるようになりました。
ただ、しばらくすると一つの疑問が生まれました。
記事の企画も執筆も編集も、一つのAIにすべて相談するのではなく、それぞれ役割を分けた方が仕事を進めやすいのではないだろうか。
そこで、2025年5月22日の夜、ChatGPTにブログ制作専属のチームを作ってみてはどうかと相談しました。
これが、現在のAIチーム「Team Velonica」の始まりです。

現在のTeam Velonicaには、総指揮のKaname、企画のAiko、執筆のRiku、編集のSana、画像や見せ方を考えるHaru、SNS広報のYui、マーケティング分析のMinatoという、それぞれ異なる役割があります。
そして、全体を確認し、最終的に判断するのが私、Keizoです。
講演では、こうしたAIメンバーの紹介画像も使いながら、普段どのように仕事を進めているのかをお話ししました。
参加者の皆さまの中には、AIをチームとして運用していることに驚かれている様子の方もいらっしゃいました。
ただし、AIメンバーが人間の社員のように、自分たちだけで会議をしたり、勝手に仕事を進めたりしているわけではありません。

私が各担当に目的を伝え、提案を確認し、必要な内容を次の担当へつないでいます。
名前や役割を分けることで、私自身も誰に何を相談するのかが整理しやすくなりました。
講演では、普段私が使っているChatGPTの画面を、大型ディスプレイに映してご紹介しました。
さらに、WordPressで公開している既存の記事を使い、AIとのやり取りを実際にご覧いただきました。
まず、参加者の皆さまに、何でもよいので思いついた言葉を出していただきました。
そして、その言葉を既存の記事タイトルに加えて、ChatGPTに新しいタイトル候補をいくつか考えてもらいました。
続いて、同じ言葉を使ってイメージ画像の生成も行いました。
その場で画像が作られ、画面に表示される様子をご覧になった参加者の皆さまは、短時間で画像が完成することや、その仕上がりに驚かれているように感じました。
AIについて言葉で説明するだけでなく、実際に操作する様子をご覧いただくことで、より身近に感じていただけたのではないかと思います。
Team Velonicaを作り、仕事の役割を分けたことで、ブログ制作は少しずつ進めやすくなりました。
しかし、実際に仕事を続けていくと、別の問題も見えてきました。
AIは自然な文章を作ってくれますが、その内容が必ずしも正しいとは限りません。
こちらの考えが十分に伝わらず、意図とは違う提案が返ってくることもあります。
そこで私が大切だと感じるようになったのが、AIに何をしてほしいのかだけでなく、何を大切にして仕事をしているのかを伝えることでした。
コスナサイクルでは、自転車を販売する際も修理する際も、お客様の気持ちを大切にしています。
例えば、長年乗り続けてきた自転車の修理です。
修理費用が新しい自転車の購入金額を上回ることがあったとしても、お客様には、その一台と過ごしてきた時間や思い出があります。
もちろん、安全に乗れる状態にできるかどうかは、専門店として慎重に判断しなければなりません。
それでも、価格だけでは決められない価値があると私は考えています。
こうした経験や考え方は、AIが初めから知っているわけではありません。
私自身が言葉にして資料にまとめ、AIが仕事の際に参照できるようにしてきました。
その中心にあるのが、コスナサイクルの理念「正しい知識と想いでつなぐ、世界の架け橋」です。
文章をきれいに整えるだけではなく、その文章に何を込めたいのか。
AIと仕事を続ける中で、私はその土台の大切さを改めて感じるようになりました。
また、今回の講演では、AIと会話するときの言葉づかいについてもお話ししました。
私はAIに対しても、人と会話するときと同じように、丁寧な言葉づかいを心がけています。
相手がAIだからといって、自分自身が大切にしてきた言葉づかいや接し方を変える必要はないと思っているからです。
これも、私なりのAIとの付き合い方の一つです。
講演の最後には、参加者の皆さまからAIについてさまざまな質問をいただきました。
この質疑応答は、私にとっても、自分が続けてきたことを改めて振り返る時間になりました。
Aさんから、AIはコスナブログを自分で読み取り、学習しているのかという趣旨の質問をいただきました。
私は、AIがコスナサイクルの経験や理念を自動的にすべて理解しているわけではないことを説明しました。
必要な情報を自分で整理して資料にまとめ、AIが仕事の際に参照できるようにしています。
例えば、自転車の修理に対する考え方、記事を書く際の基本ルール、お客様に情報を伝えるときの姿勢などです。
これは、AIがその情報を使って回答を作る際に参照する仕組みであり、AIモデル自体が新たに学習することとは異なります。
すると、Aさんからさらに質問をいただきました。
「それが一番時間がかかったんじゃないですか?」
まさに、その通りだと思いました。
AIを使って仕事を効率化する一方で、そのAIとよりよい仕事をするための知識づくりには、想像以上の時間を費やしてきたのです。
Bさんからは、こんな質問もいただきました。
「プロジェクトに現在保存されている約50項目の知識は、ChatGPTを使い始めてから作成されたのですか?」
私は「そうです」とお答えしました。
ChatGPTを使い始めた当初から、現在のように知識やルールがそろっていたわけではありません。
現在も利用している有料プラン「Plus」のプロジェクト機能などを活用しながら、仕事に必要な知識を一つずつ整理してきました。
講演でご紹介した約50項目という知識も、そうした積み重ねによるものです。
AIを活用することで、以前よりもブログ記事の制作時間は短縮できるようになりました。
しかし、その分だけ仕事が楽になったというわけではありません。
お店の仕事を終え、夕食を済ませてからパソコンに向かい、深夜にかけて知識を整理していたこともあります。
長年、自転車店として積み重ねてきた経験や考え方を、AIに伝わるように言葉にする作業です。
この知識の積み重ねが、現在のコスナブログの記事制作を支える大切な土台になっています。
私は、根になるものをきちんと作らないと、うわべだけの記事になってしまうと考えています。
AIで記事を書く時間を短縮できても、その記事に込める経験や知識、そして想いを整理することは、これからも欠かせない仕事だと思っています。
Bさんからは、もう一つ質問をいただきました。
「ブログ記事を書くのは、売上を伸ばすためですか?」
私は「違います」とお答えしました。
もちろん、お店を続けていくうえで売上は大切です。
しかし、私がコスナブログを書き始めた一番の理由は、自転車について困っている方や、疑問を持って検索している方の悩みを、少しでも解決したいと思ったからです。
日々の修理や整備で得た経験、正しい部品の使い方やメンテナンスの知識を、できるだけわかりやすく伝えたい。
記事を読んだ方が疑問を解消したり、安心して自転車に乗るための参考にしてくださったりすれば、私にとってもうれしいことです。
AIと一緒に記事を作るようになった今も、その想いは変わっていません。
質疑応答を通じて、AIについて知っていても、まだ実際には活用していない方や、すでに使っていても自分の使い方でよいのか迷われている方など、さまざまな状況があることを感じました。
そこで私は、皆さまにこんなことをお伝えしました。
「まずはAIと対話してみてください。」
最初から難しいことをお願いする必要はないと思います。
日常のちょっとした疑問でも、仕事で困っていることでも、何でも構いません。
まずは自分が使いやすいと感じるAIと、実際にやり取りをしてみる。
うまく伝わらなければ、もう一度聞いてみる。
そんな対話を少しずつ重ねることで、自分にとってAIがどのような存在になるのか、どのような付き合い方ができるのかが見えてくるのではないかと思っています。
私自身も、最初からTeam Velonicaのようなチームを作ろうと考えていたわけではありません。
一つの相談から始まり、対話を繰り返す中で今の形になりました。
AIとの付き合い方は、人それぞれでよいのだと思います。
トークショー終了後には、希望された皆さまと立食形式のお食事を囲みながら、交流の時間を過ごしました。
中央のテーブルを囲んでお話しする中で、講演中に聞けなかったことについて、改めて質問をいただく場面もありました。
講演の時間とはまた違い、皆さまと直接言葉を交わしながら、一つひとつお話しできたことは、私にとって貴重な経験でした。
普段は自転車店でお客様と接する毎日ですが、こうして仕事場とは違う場所で、さまざまな方とお話しできることをうれしく思います。
AIという新しい技術について、それぞれの立場から考えたり、疑問を持ったりする。
そのような時間を皆さまと共有できたことも、今回のトークショーで心に残っていることの一つです。
振り返ると、AIについてお話しする場でありながら、最後に心に残ったのは、やはり人と人との交流でした。
AIと一緒に仕事をするようになって、できることは確かに増えました。
以前なら自分一人で長い時間をかけていた作業も、AIに相談することで進めやすくなっています。
けれども、AIがどれほど便利になっても、変わらず大切にしていきたいことがあります。
それは、人に対して誠実であることです。
自転車を整備してお客様にお渡しするとき、ブレーキやタイヤの状態を確認し、安全に乗れるかを判断するのは、専門店としての私の責任です。
AIと作った記事についても、内容が正しいかどうか、お客様や読者の方に誤解を与えないかどうか、最後に確認し判断する責任は私にあります。
AIは提案してくれます。しかし、最後に判断し、責任を持つのは人間です。
これは今回の講演でも、特に大切にしてお伝えしたことでした。
私はAIと人間のどちらが優れているかを考えたいわけではありません。
それぞれの良さを生かしながら、人間が大切にしてきた想いや価値観を忘れず、一緒に歩んでいければと思っています。
AIとの共存を考えることは、私たち自身が何を大切にして生き、仕事をしていくのかを考えることでもあるのかもしれません。
私自身も、AIについてはまだ学んでいる途中です。
これからも対話を重ねながら、正しい知識と人への想いを大切にしていきたいと思います。
今回のトークショーにご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。
AIについて考え、直接言葉を交わせたこの時間と、ご縁をこれからも大切にしていきたいと思います。
