この記事は、2025年9月14日に追記・更新しました。
「自転車後輪バンドブレーキがキーキー鳴る!サーボブレーキ交換で静かに解決」について反映しています。
自転車の後輪から「キーキー」と耳障りな音が鳴ってしまう…。
街中や信号待ちで止まるたびに、周囲の視線が気になってしまう方も多いのではないでしょうか。
この原因は、多くの場合「バンドブレーキ」の構造そのものにあります。
摩擦で制動する仕組み上、雨や経年劣化によって音鳴りが発生しやすいのです。
内部への注油は厳禁で、調整や清掃をしても根本的に改善するのは難しいケースがほとんどです。
そこで有効なのが「サーボブレーキ」への交換です。
静かで制動力も安定するため、ブレーキの異音に悩む方に最適な選択肢といえます。
この記事では、バンドブレーキとサーボブレーキの違い、交換するメリット、実際の作業工程や注意点まで、専門店としての経験をもとにわかりやすく解説します。
一般的なシティサイクルやママチャリに搭載される後輪ブレーキには、主に ローラーブレーキ・サーボブレーキ・ドラムブレーキ(バンドブレーキ) の3種類があります。
このうち、安価な自転車に多く採用されているのがドラムブレーキ(バンドブレーキ) です。構造がシンプルでコストを抑えられるため普及していますが、「音鳴りしやすい」という弱点を持っています。
一般的なシティサイクルに広く採用されているドラムブレーキ。
シンプルで安価ですが、音鳴りが発生しやすいのが難点です。
ママチャリやシティサイクルに多く採用されているドラムブレーキ(バンドブレーキ)は、後輪ハブの外側に取り付けられたドラムを金属バンドで締め付けることで制動力を生みます。
摩擦で止める仕組みのため、以下の要因で「キーキー」と甲高い音を発生しやすいです。
構造がシンプルでコストも低いため広く普及していますが、その一方で音鳴りしやすいという弱点を抱えています。
一度音鳴りが発生すると、清掃や調整で一時的に軽減できることはあります。
しかし構造的に摩擦音を完全に消すのは難しく、再発する可能性が高いのが実情です。
さらに、ブレーキ本体への注油は厳禁です。
油分が摩擦力を低下させ、制動力が著しく落ちる危険性があるため、安易な処置は事故につながります。
ブレーキへの注油は厳禁ですが、実は他にも“絶対に注油してはいけない場所”があります。
誤った注油は事故につながるため、こちらの記事でぜひ確認してください。
▶自転車に注油してはいけない場所5選|事故を防ぐための基本知識
サーボブレーキは、ドラムブレーキ(バンドブレーキ)を改良して生まれた後継タイプです。
内部の摩擦構造を工夫することで、摩擦音の発生を抑え、より安定した制動力を得られるように設計されています。
従来のドラムブレーキ(バンドブレーキ)では「キーキー音」がつきものでしたが、サーボブレーキは 音が出にくく静かに止まれる のが大きな特徴です。
また制動力も滑らかで、急激なロックが起こりにくく、安全性が高まります。
私の経験上、ブレーキレバー操作時の感覚も少し異なります。
ドラムブレーキ(バンドブレーキ)は、レバーを握った瞬間に「ガツン!」と効くような強い制動感があります。
それに対してサーボブレーキは「フワッとソフトに」効き始めるため、制動力がより自然に立ち上がり、コントロールしやすいのが特長です。
このフィーリングの違いは、普段の走行における安心感や快適さに直結します。
サーボブレーキに交換することで、日常的に感じていた不快な音鳴りがなくなり、走行時の快適性が大幅に向上します。
さらにブレーキの効きが安定するため、自転車全体の寿命や安全性の面でも大きなメリットがあります。
ブレーキ内部の構造はまったく異なります。
この構造の違いこそが、「音鳴りしにくいサーボブレーキ」と「音鳴りしやすいドラムブレーキ」の分かれ道です。
ブレーキには他にも『ローラーブレーキ』という方式があり、こちらは専用グリスで音鳴り対策が可能です。
構造やメンテナンス方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
▶シマノローラーブレーキの特徴と音鳴り対策:メンテナンス方法と専用グリスについて
こちらが実際に交換作業で使用するサーボブレーキ本体です。
従来のドラムブレーキ(バンドブレーキ)に比べ、音鳴りがしにくく、制動力も安定しているのが特長です。
新品部品に交換することで、長期間にわたり快適で安心な走行が可能になります。
後輪にドラムブレーキ(バンドブレーキ)が採用されている自転車であれば、多くの場合サーボブレーキに交換できます。
ただし車種によって適合部品が異なるため、専門店で確認する必要があります。
ブレーキ本体を交換しても、ワイヤーが劣化していれば本来の性能は発揮できません。
安全な走行のためにはブレーキワイヤーの定期交換も大切です。
詳しくはこちらをご参照ください。
▶切れてからでは遅い!自転車ブレーキワイヤー交換
交換作業はまず後輪のハブナット左右をレンチ工具で緩めるところから始まります。
バンドブレーキ本体を固定している取付バンドのネジを緩めたらブレーキケーブル固定ナットも緩めブレーキワイヤーを取り外します。
ハブナットとブレーキ取付バンド、ケーブル固定ボルト緩め外すと後輪全体をフレームから取り外せます。
今回のような6段変速仕様の場合には、チェーンは一番小さなギヤの位置にセットするとスムーズに取り外せます。
摩耗や音鳴りの原因となる古いドラムブレーキ本体を取り外します。
ドラムブレーキ本体を固定しているナットを17㎜レンチ工具で緩めます。この時もう片方の手でしっかり本体を押さえて緩めてください。
ドラムブレーキ本体の内側部分の部品を専用工具を使用して取り外します。
内部の摩耗した部品を丁寧に取り外し、新しいサーボブレーキに備えます。
音鳴りしにくいサーボブレーキの内部部品を組み込んでいきます。
この時ネジ部には薄くグリスを塗布してください。こうする事で締め付けトルクを一定に保ちます。
ドラム内部に油分が付かないように注意しながら取り付けていきます。
サーブブレーキ本体部分のハブ軸用固定ナットを17㎜レンチ工具で締め付けます。この時ももう片方の手でしっかり押えます。
サーボブレーキを取り付けた後、後輪をフレームに戻します。
スタンドやキャリアなど、後輪周りの部品を順番に仮止めして位置を整えます。
今回の6段変速仕様の場合は、変速用アウターケーブルの取り回しにも気を付けながら作業をします。
サーボブレーキ本体の取付バンドネジを仮止めしてから、ハブ軸ナットをレンチ工具で左右均等に締め付けて固定します。
安全性を確保するため、規定トルクで締め付けを確認します。
サーボブレーキ本体をフレームに固定するバンドをドライバーとレンチ工具を使い締めます。
制動力と静音性を両立させるため、ライニングパッドの位置を慎重に合わせます。
※サーボブレーキはブレーキケーブルを固定する前に初期設定が必要です。
緑色のカバーが付いている所にあるプラスネジ部を回してドラムブレーキが接触する音がして車輪が固定される状態まで一旦ネジを回します。
それから今度は逆にネジを緩めながら「シャリシャリ」とパッドが擦れる事がしなくなり、車輪もスムーズに回転する位置になるようにネジで微調整して初期設定を行います。
ブレーキケーブルを通して手で前方に引っ張りながらネジを工具で固定します。
左側の後用ブレーキレバーを何度が握りブレーキケーブルの初期伸びを調整します。
これで「ドラムブレーキ」から「サーボブレーキ」へのブレーキ本体交換作業の完了です。
最後に、試走して最終確認すれば全ての作業完了です。
これで不快な音鳴りが解消され、安心して快適に走行できます。
交換には専用工具と技術が必要なため、一般の方が自宅で行うのは危険です。
ブレーキは命を守る重要部品です。
音鳴りが発生した時点で交換を検討すべきですが、それ以外にも以下のような症状が出た場合は交換のサインです。
特に安価なドラムブレーキ(バンドブレーキ)は耐久性が限られるため、数年に一度は点検・交換を検討するのが安心です。
ブレーキは自転車の命綱です。取り付け不良や調整不足は重大な事故につながります。
サーボブレーキ交換は、必ず専門店に依頼することを強くおすすめします。
A. 直りません。ブレーキ本体への注油は厳禁で、制動力が低下して非常に危険です。
A. 一時的に軽減する場合もありますが、再発の可能性が高く根本解決にはなりません。
A. 専門的な工具と技術が必要なため、必ず自転車専門店にご依頼してください。
A. サーボブレーキは構造的に音鳴りしにくく、従来のドラムブレーキに比べて格段に静かになります。
ただし、走行環境や使用状況によってまれに軽微な音が出ることはあります。それでも不快な「キーキー音」は大幅に改善されます。
音鳴り対策や交換も大切ですが、普段のブレーキ操作が正しくないと安全性は十分に確保できません。
基本的なブレーキのかけ方については以下の記事で詳しく解説しています。
▶知っているようで知らない「正しい自転車ブレーキのかけ方」一般自転車編
後輪ドラムブレーキ(バンドブレーキ)の「キーキー音」は、多くの自転車ユーザーが経験するトラブルです。
調整や掃除で一時的に改善できても、構造的に完全に解消することは困難です。
唯一の根本解決策は、サーボブレーキへの交換。
静かで安定した制動力を得られるだけでなく、快適で安全な走行が手に入ります。
異音に悩んでいる方は、ぜひ専門店にご相談してみてください。
サーボブレーキ交換は、後輪の取り外しから本体交換、調整、仕上げ確認まで細かな工程を経て行います。
ここでは実際の作業写真19枚を2列レイアウトでまとめました。
「→ 各工程の詳細解説へ戻る(『サーボブレーキ交換の流れと注意点』)」