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自転車に注油してはいけない場所5選|事故を防ぐ正しいメンテナンス知識

後サーボブレーキは注油禁止

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注油NGの場所を知らないと、自転車は壊れます

この記事は、2025年8月30日に追記・更新しました。
「自転車に注油してはいけない場所5選|事故を防ぐ正しいメンテナンス知識」について反映しています。

自転車を安全に保つためには、注油してはいけない場所を知ることが最も重要です。

実は「とりあえず油を差しておけば安心」と思い込み、逆に故障や事故を招いてしまうケースは少なくありません。

あなたも「ブレーキが効きにくい」「ギアの調子が悪い」と感じた経験はないでしょうか。

特に近年は通勤・通学や日常の足として自転車を使う方が増え、誤った注油によるトラブル相談も目立ちます。

この記事では、整備の現場で実際によく見かける“注油してはいけない場所”を5つ取り上げ、なぜダメなのか、どう対処すべきかを具体的に解説します。

最後まで読めば、注油の正しい知識が身につき、故障や事故のリスクを減らしながら安心して走れるようになります。

実際の修理現場で培った知識をベースに解説しますので、安心してご参考ください。

自転車に注油してはいけない場所5選

1. ブレーキローター・ブレーキシュー

2024年油圧ディスクブレーキ仕様クロスバイク「コーダーブルーム レイルディスク」フロント油圧ディスクブレーキ
ディスクブレーキローターに油が付着すると制動力が大幅に低下します

ディスクブレーキは雨の日でも安定した制動力を発揮できる優れたブレーキですが、ローター部分に油が付くと一気に効きが落ちます。

ローターに注油は厳禁であり、油分が付いた場合はイソプロピルアルコールや専用クリーナーで脱脂する必要があります。

KhodaaBloom「RAIL700」2023年モデルのクロスバイクにはシマノ製Vブレーキアーチ採用
リムブレーキはシューが当たる接触面に注油してはいけません

クロスバイクに多いVブレーキは、リムサイドの摩擦で制動します。

ここに油が付着すると音鳴りが発生するだけでなく、ブレーキが効かなくなります。

油が付着した時は、直ぐに速乾性ブレーキ&パーツクリーナー等で拭き取ってください。

ディスクブレーキのローターやリムブレーキのシュー部分に油が付着すると、制動力は一気に低下します。
これは事故に直結する重大リスクです。

ローターに油が付いてしまった場合は、すぐにイソプロピルアルコールやディスクブレーキ専用クリーナー等で脱脂する必要があります。
それでも効きが戻らない場合は、ブレーキパッドやローターを交換するのが安全です。

2. リム(ブレーキ接触面)

2025年モデルKhodaaBloom「RAIL ACTIVE700×32Cタイヤ

リムブレーキを使用している場合、車輪の外周にあるリムはブレーキシューと直接接触します。

ここに油が付くと「キーキー音鳴り」だけでなく、停止距離が伸びて非常に危険です。

リムの清掃は乾いた布やワコーズ製「BC-9速乾性ブレーキ&パーツクリーナー」を使えば十分で、リムのブレーキの当たる面には絶対に注油はしないでください!

関連記事:自転車ケミカル商品おすすめ「ワコーズ BC-9」速乾性ブレーキ&パーツクリーナー

3. シティサイクルの後輪ブレーキ本体

後ブレーキ注油禁止
後輪ブレーキ本体は注油禁止。内部に油が入ると効きがなくなります

シティサイクルに使われる「ドラムブレーキ」や「サーボブレーキ」、「ローラーブレーキ」は、構造上「注油禁止」です。

内部に油が入るとブレーキが効かなくなりとても危険です。

一般的なシティサイクル(ママチャリ)で使われる後輪ブレーキには、大きく分けて3種類あります。

  • 昔ながらの ドラムブレーキ
  • 消音効果を持つ サーボブレーキ
  • 最近主流の ローラーブレーキ

特にドラムブレーキは音が出やすく、走行中に「キィー!」と高い音がすることがあります。

そのため「音がうるさいから」とブレーキをかけるのを避けたり、中には安易に油を注して音を抑えようとする人もいますが、これは非常に危険です。

ブレーキ本体には「注油禁止」のステッカーが貼られている場合が多いのですが、それを無視して注油してしまうとブレーキがほとんど効かなくなり、事故につながることもあります。

一度でも内部に油が入ってしまうと脱脂が難しく、交換せざるを得なくなるケースも少なくありません。

もし音がどうしても気になる場合は、消音タイプのブレーキ本体に交換するのが唯一の正しい対処法です。
決して自己判断で注油しないでください。

関連記事:シマノローラーブレーキの特徴と音鳴り対策:メンテナンス方法と専用グリスについて

4. ハブの外側や回転部分

クロスバイク「RAIL ACTIVE」のフロントハブ
クロスバイクのハブは外からの注油ではなく、分解してグリスアップが必要です

ホイール中央にあるハブは回転の要ですが、外側から注油してしまうと内部ベアリングのグリスが流れ出てしまい潤滑効果が逆に低下してしまいます。

むしろホコリや砂を巻き込んで回転不良の原因になります。

ハブの整備は「分解清掃→グリスアップ」が基本であり、専用工具が必要です。

注油してはいけない場所前ハブ
シティサイクルのハブも同様に、外部注油は逆効果になります

一見シンプルなシティサイクルのハブも、外から油を差してはいけません。

内部整備は専用工具が必要で、グリスアップは専門店での分解整備に任せるのが安心です。

注油してはいけない場所後ハブ
内装変速ハブは精密機構。注油ではなく本体内部は専用グリス整備または専用オイルデッピング作業が必須です

シティサイクルに多い内装3段のハブは、ギアやベアリングが一体化した精密部品です。

外から油を差しても届かず、逆にゴミを呼び込む原因になります。

定期的にオーバーホールして内部のグリスを整備する必要があります。

関連記事:シマノ内装3段ハブの純正オイルを使ったオイルディッピング作業について

5. ボトムブラケット(BB)周辺

注油してはいけない場所ボトムブラケット
ボトムブラケットは分解・グリスアップが必須。外注油はトラブルのもと

クランク回転軸のボトムブラケット(BB)は、自転車の動力を伝える重要なパーツです。

外部から注油してしまうと内部のグリスが流れてしまい、機能低下につながり帰って異音やガタつきを招きます。

こちらも専門工具を用いた分解・グリスアップが必須です。外部注油は控え、異常を感じたらショップに依頼しましょう。

なぜ注油してはいけないのか?

ブレーキ性能低下は事故に直結

ブレーキ周りに油が付くと制動力は半減し、事故の危険性が高まります。

整備不良による事故は自己責任だけでなく、周囲を巻き込むリスクもあり非常に深刻です。

パーツ寿命を縮める原因になる

ハブやボトムブラケット(BB)への外部注油は、内部のベアリングを守るどころか摩耗を早めます。

結果として本来よりも早く交換が必要になることも少なくありません。

オイルとグリスの違いを理解する

  • オイル:チェーンなど摩擦部分を滑らかにする
  • グリス:ベアリングなど内部を保護する
  • 注油禁止部位:ブレーキ、タイヤ、リムなど安全に関わる部分

関連記事:自転車のメンテにグリスを使用していない方はぜひ一度グリス導入を

正しい注油とメンテナンスの基本対策

チェーンは定期的に注油する

チェーンは自転車の中で最も注油が必要なパーツです。

専用チェーンオイルを1コマずつ点滴注油し、余分な油は拭き取ります。

これにより走行効率が上がり、チェーン寿命も延びます。

ケーブル類は少量の専用グリスまたはオイルで保護

ブレーキケーブルには浸透性のあるオイルを少量使うことで、動きがスムーズになります。

ただし、スプレー式の吹きすぎには注意してください。

また、シフトケーブルには、シマノ製ケーブルグリスを薄く塗布することで動きがスムーズになります。

専門店でのオーバーホールを活用

ハブやボトムブラケット(BB)の内部整備はプロに任せるのが安心です。

1〜2年に一度のオーバーホールを目安に依頼すると、トラブルを未然に防げます。

関連記事:ロードバイクをフルオーバーホール!7年乗り続けたレーシングミク限定モデルが蘇る

よくある質問(FAQ)

Q1. ブレーキに油が付いたらどうすればいいですか?
A1. すぐに走行をやめ、専用クリーナー等で脱脂してください。
それでも改善しない場合は部品交換が必要です。

Q2. シマノローラーブレーキには本当に注油してはいけないのですか?
A2. はい。シマノのローラーブレーキは構造上、一般的な潤滑油を注すと内部グリスが流れ出し、異音や焼き付きの原因になります。

メーカーは「専用ローラーブレーキグリス」の使用を指定しており、これ以外の注油は厳禁です。

音鳴りが気になるときは、必ず専用グリスを補給してください。

Q3. オイルとグリスはどう使い分けますか?
A3. チェーンやケーブルにはオイル、ハブやボトムブラケット(BB)内部にはグリスを使います。

ブレーキやタイヤなど安全に関わる部分は注油禁止です。

【再確認】注油してはいけない場所と正しい知識を持つこと

自転車メンテナンスは「油を差せば良い」という単純なものではありません。

特にブレーキやタイヤに油を注すと、安全性が大きく損なわれます。

注油してはいけない場所は次の5つです。

  • ブレーキローター・シュー
  • リム
  • 後輪ブレーキ本体
  • ハブ本体
  • BB周辺

正しい知識を持って、必要な場所にはオイルやグリスを適切に使うことが大切です。

これにより自転車は安全に、そして長く乗り続けることができます。
「知らなかった」では済まされないからこそ、今すぐ確認しておきましょう。

投稿者プロフィール

小砂恵三
小砂恵三コスナサイクル店長
宮田工業(現在:ミヤタサイクル)での研修を得て、インショップ形式の自転車店の店長に就任。その後家業を継ぎ自転車のメンテナンス、販売に従事して35年以上。
自転車専門資格として「自転車安全整備士」「自転車技士」「スポーツBAA PLUS」「自転車組立整備士」「BAAアドバイザー」などを保有。
現在はコーダブルームやパナソニックといったライトスポーツ自転車から電動アシスト自転車までを幅広くカバーするサイクルショップ、コスナサイクルを運営。