この記事は、2025年8月30日に追記・更新しました。
「自転車に注油してはいけない場所5選|事故を防ぐ正しいメンテナンス知識」について反映しています。
自転車を安全に保つためには、注油してはいけない場所を知ることが最も重要です。
実は「とりあえず油を差しておけば安心」と思い込み、逆に故障や事故を招いてしまうケースは少なくありません。
あなたも「ブレーキが効きにくい」「ギアの調子が悪い」と感じた経験はないでしょうか。
特に近年は通勤・通学や日常の足として自転車を使う方が増え、誤った注油によるトラブル相談も目立ちます。
この記事では、整備の現場で実際によく見かける“注油してはいけない場所”を5つ取り上げ、なぜダメなのか、どう対処すべきかを具体的に解説します。
最後まで読めば、注油の正しい知識が身につき、故障や事故のリスクを減らしながら安心して走れるようになります。
実際の修理現場で培った知識をベースに解説しますので、安心してご参考ください。
ディスクブレーキは雨の日でも安定した制動力を発揮できる優れたブレーキですが、ローター部分に油が付くと一気に効きが落ちます。
ローターに注油は厳禁であり、油分が付いた場合はイソプロピルアルコールや専用クリーナーで脱脂する必要があります。
クロスバイクに多いVブレーキは、リムサイドの摩擦で制動します。
ここに油が付着すると音鳴りが発生するだけでなく、ブレーキが効かなくなります。
油が付着した時は、直ぐに速乾性ブレーキ&パーツクリーナー等で拭き取ってください。
ディスクブレーキのローターやリムブレーキのシュー部分に油が付着すると、制動力は一気に低下します。
これは事故に直結する重大リスクです。
ローターに油が付いてしまった場合は、すぐにイソプロピルアルコールやディスクブレーキ専用クリーナー等で脱脂する必要があります。
それでも効きが戻らない場合は、ブレーキパッドやローターを交換するのが安全です。
リムブレーキを使用している場合、車輪の外周にあるリムはブレーキシューと直接接触します。
ここに油が付くと「キーキー音鳴り」だけでなく、停止距離が伸びて非常に危険です。
リムの清掃は乾いた布やワコーズ製「BC-9速乾性ブレーキ&パーツクリーナー」を使えば十分で、リムのブレーキの当たる面には絶対に注油はしないでください!
関連記事:自転車ケミカル商品おすすめ「ワコーズ BC-9」速乾性ブレーキ&パーツクリーナー
シティサイクルに使われる「ドラムブレーキ」や「サーボブレーキ」、「ローラーブレーキ」は、構造上「注油禁止」です。
内部に油が入るとブレーキが効かなくなりとても危険です。
一般的なシティサイクル(ママチャリ)で使われる後輪ブレーキには、大きく分けて3種類あります。
特にドラムブレーキは音が出やすく、走行中に「キィー!」と高い音がすることがあります。
そのため「音がうるさいから」とブレーキをかけるのを避けたり、中には安易に油を注して音を抑えようとする人もいますが、これは非常に危険です。
ブレーキ本体には「注油禁止」のステッカーが貼られている場合が多いのですが、それを無視して注油してしまうとブレーキがほとんど効かなくなり、事故につながることもあります。
一度でも内部に油が入ってしまうと脱脂が難しく、交換せざるを得なくなるケースも少なくありません。
もし音がどうしても気になる場合は、消音タイプのブレーキ本体に交換するのが唯一の正しい対処法です。
決して自己判断で注油しないでください。
関連記事:シマノローラーブレーキの特徴と音鳴り対策:メンテナンス方法と専用グリスについて
ホイール中央にあるハブは回転の要ですが、外側から注油してしまうと内部ベアリングのグリスが流れ出てしまい潤滑効果が逆に低下してしまいます。
むしろホコリや砂を巻き込んで回転不良の原因になります。
ハブの整備は「分解清掃→グリスアップ」が基本であり、専用工具が必要です。
一見シンプルなシティサイクルのハブも、外から油を差してはいけません。
内部整備は専用工具が必要で、グリスアップは専門店での分解整備に任せるのが安心です。
シティサイクルに多い内装3段のハブは、ギアやベアリングが一体化した精密部品です。
外から油を差しても届かず、逆にゴミを呼び込む原因になります。
定期的にオーバーホールして内部のグリスを整備する必要があります。
関連記事:シマノ内装3段ハブの純正オイルを使ったオイルディッピング作業について
クランク回転軸のボトムブラケット(BB)は、自転車の動力を伝える重要なパーツです。
外部から注油してしまうと内部のグリスが流れてしまい、機能低下につながり帰って異音やガタつきを招きます。
こちらも専門工具を用いた分解・グリスアップが必須です。外部注油は控え、異常を感じたらショップに依頼しましょう。
ブレーキ周りに油が付くと制動力は半減し、事故の危険性が高まります。
整備不良による事故は自己責任だけでなく、周囲を巻き込むリスクもあり非常に深刻です。
ハブやボトムブラケット(BB)への外部注油は、内部のベアリングを守るどころか摩耗を早めます。
結果として本来よりも早く交換が必要になることも少なくありません。
関連記事:自転車のメンテにグリスを使用していない方はぜひ一度グリス導入を
チェーンは自転車の中で最も注油が必要なパーツです。
専用チェーンオイルを1コマずつ点滴注油し、余分な油は拭き取ります。
これにより走行効率が上がり、チェーン寿命も延びます。
ブレーキケーブルには浸透性のあるオイルを少量使うことで、動きがスムーズになります。
ただし、スプレー式の吹きすぎには注意してください。
また、シフトケーブルには、シマノ製ケーブルグリスを薄く塗布することで動きがスムーズになります。
ハブやボトムブラケット(BB)の内部整備はプロに任せるのが安心です。
1〜2年に一度のオーバーホールを目安に依頼すると、トラブルを未然に防げます。
関連記事:ロードバイクをフルオーバーホール!7年乗り続けたレーシングミク限定モデルが蘇る
Q1. ブレーキに油が付いたらどうすればいいですか?
A1. すぐに走行をやめ、専用クリーナー等で脱脂してください。
それでも改善しない場合は部品交換が必要です。
Q2. シマノローラーブレーキには本当に注油してはいけないのですか?
A2. はい。シマノのローラーブレーキは構造上、一般的な潤滑油を注すと内部グリスが流れ出し、異音や焼き付きの原因になります。
メーカーは「専用ローラーブレーキグリス」の使用を指定しており、これ以外の注油は厳禁です。
音鳴りが気になるときは、必ず専用グリスを補給してください。
Q3. オイルとグリスはどう使い分けますか?
A3. チェーンやケーブルにはオイル、ハブやボトムブラケット(BB)内部にはグリスを使います。
ブレーキやタイヤなど安全に関わる部分は注油禁止です。
自転車メンテナンスは「油を差せば良い」という単純なものではありません。
特にブレーキやタイヤに油を注すと、安全性が大きく損なわれます。
注油してはいけない場所は次の5つです。
正しい知識を持って、必要な場所にはオイルやグリスを適切に使うことが大切です。
これにより自転車は安全に、そして長く乗り続けることができます。
「知らなかった」では済まされないからこそ、今すぐ確認しておきましょう。