長年にわたり大切に乗られてきたロードバイク。定期的なメンテナンスも重要ですが、使用頻度にもよりますが、本来は1年に一度は行ってほしいですが、それでも3年ぐらいを節目に「フルオーバーホール」がおすすめです。今回は、当店でご購入後、約7年が経過した「レーシングミク(初音ミク)デザインの限定モデル」を、丁寧に分解・洗浄・整備し、ケーブルやブレーキシューを新調。そのビフォーアフターをご紹介します。
ロードバイクの「オーバーホール」とは、自転車をほぼ全てのパーツ単位まで分解し、洗浄・点検・再調整・必要な部品の交換を行う、いわば“愛車のフルメンテナンス”です。
使用年数、使用状況、気になる不具合についてヒアリング。目視と操作確認により、フレームの傷、ケーブルの劣化、ブレーキや変速の状態などを総合的にチェックします。
フレームからすべてのパーツを取り外し、各部を専用クリーナーで洗浄。ヘッド部分やクランク部分、リリアディレイラーなどは分解し、古いグリスや汚れを除去します。
今回の作業では、以下の3点を新しく交換しました。
NISSENケーブルはシマノ純正に比べてしなやかで、引きの軽さや変速のスムーズさに定評があります。当店でも多くのお客様にご好評いただいている高性能な国産パーツです。
すべてのベアリング部に新しいグリスを塗布し、パーツを元通りに正確に組み上げます。締め付けトルクも規定値で管理し、安全性を確保。
ワイヤーテンションやブレーキの当たりを細かく調整し、最終的に試走にて動作確認を行います。スムーズな変速、しっかり効くブレーキ、快適な走行感をチェック。
7年間乗り続けたオーナー様の愛車「限定モデル:レーシングミク・ロードバイク」を今回、フルオーバーホールしました。
まずは全体のビフォーアフター画像をご覧ください!
当店でご購入後約7年経過した「限定モデル:レーシングミク」ロードバイク。
先ずは、オーバーホール作業前に各部のチェック、やはり長年使用していますので各パーツの汚れも目立ちます。
オーナー様ご依頼として「ブレーキシュー」と「ブレーキケーブルセット」及び「シフトケーブルセット」の交換
コスナのフルオーバーホー作業で綺麗になった「レーシングミク・ロードバイク」光沢も蘇り新品同様にピカピカになりました。
それでは各パーツごとの作業内容とBefore→Afterを詳しくご紹介していきます。
長年の使用により、ヘッドベアリング部分には古いグリスの汚れの蓄積が見られました。ベアリングを含めたヘッド部をすべて分解・洗浄し、新たにグリスを塗布。
フレームから各パーツを取り外して、ヘッドパーツ部分を確認すると、やはり古いグリスでかなり汚れています。
ヘッドパーツ部分の各パーツもそれぞれ確認すると汚れの層があり古いグリスが蓄積されています。
各ヘッドパーツを洗浄して汚れを取りきれいになりました。
パーツを丁寧に洗浄・再グリスアップし、滑らかな回転が復活。
ステムやスペーサー、アンカー部分には汗や水分の侵入によって汚れが見られました。それぞれのパーツを取り外し、固着した汚れを除去。洗浄後には接触面に薄くグリスを塗布して防錆対策を行いました。
ステム表面には長年の使用による汚れが目立ち、クランプ部には固着した汚れが確認されました。
アンカー部品も分解すると古いグリスが各パーツにべっとり固着しています。
ヘッドスペーサーも汚れにより本来の光沢も薄れてしまつています。
ステム本体とクランプ面を丁寧に洗浄し、汚れていたネジ類もご覧の通りピカピカに!
アンカー部品も洗浄して、固着していたグリスもきれいに落としました。
ヘッドスペーサーもひとつずつ丁寧に洗浄してきれいに仕上げました。
長年使用されたブレーキキャリパーは、可動部に汚れや古いグリスの蓄積があり、動作が重くなっていました。安全性を確保するため、本体を洗浄と調整と再組立を行い、スムーズで確実なブレーキ操作が可能な状態に整備しました。
長期間の使用により、可動部に汚れと固着が見られ、ブレーキシューの片減りやパッド残量の低下も確認されました。
本体を分解洗浄し、その後再組立を行いブレーキ本体の可動部も動きが滑らかになり、ブレーキシューを交換し制動力も改善しました。
クランクにはチェーンオイルや砂埃による黒ずみ汚れが堆積しており、軸まわりにもグリスの劣化が見られました。取り外したクランクは各部を丁寧に洗浄し、取り付け前に軸部と接触面に新しいグリスを塗布。見た目の清掃はもちろん、回転抵抗の軽減にもつながる重要な整備工程です。
チェーンリング周辺には古いオイル汚れや泥の層がこびりつき、全体的に黒ずんでいる状態でした。
頑固にこびり付いていた各部の汚れもきれいに落とした後、接触面に新グリスを塗布し、トルク管理のうえで丁寧に再組み付けを行い外観も美しくなり、回転もスムーズに。
カセットスプロケットにはチェーンオイルやホコリ、路面の砂などが蓄積し、ギアの隙間には頑固な汚れが詰まっている状態でした。一枚ずつ丁寧に分解・洗浄を行い、歯先の状態を確認後、再度組み直して仕上げました。清掃により見た目だけでなく、変速性能と駆動効率の向上にもつながります。
長期間の使用により、スプロケット全体に油汚れと金属粉がこびりついてました。
一枚ずつブラッシング・洗浄を行い、スプロケット本来の輝きが復活。歯先もシャープに見えるようになり、見た目も機能もリフレッシュされました。
リアディレイラーにはチェーンオイルとホコリが混ざった汚れが堆積し、プーリー部分の動きにも抵抗が感じられました。各部を丁寧に分解・洗浄し、可動部には新しいグリスを注入。摩耗の確認も行いながら、滑らかな変速動作を取り戻しました。
プーリー周辺には汚れがびっしりと付着しており、回転が鈍くなっている状態でした。ケージ内部にも古いグリスと砂汚れが確認できました。
リアディレイラーの各パーツを分解して洗浄後、注油を実施。プーリーの回転も軽くなり、スムーズな変速操作が可能な状態に仕上がりました。
シートポストとフレームの接合部には固着した汚れがありポストを慎重に抜き取り内部とシートポストを丁寧に清掃。再組み付けを行い、フレームへの負担を軽減しました。
シートクランプのネジ部にも汚れと泥が付着、シートポストのサドル固定部にも泥による汚れが付いてました。
洗浄後のシートポストはきれいになりフレーム内も清掃済。
長年の使用により、ビンディングペダルには泥やオイル汚れが蓄積していました。分解・洗浄で清掃を行い、注油・グリスアップを実施。ペダルの回転も滑らかになりました。
ペダル表面やスプリング周辺に汚れが溜まり、シューズのキャッチ部の動きがやや渋くなっていました。ベアリングの回転も少し重めな印象。
ペダル軸の回転が少しゴリゴリしていましたが、シャフト軸を再組立して回転具合の微調整も行う
汚れを除去後、クリートキャッチ部には注油、回転部には新しいグリスを補充。踏み込みと外し動作がスムーズに改善されました。
今回のオーバーホールでは、シマノ純正パーツではなく、操作性とレバーの引きの軽さ変速操作の軽さとスムーズ性に信頼性と操作感の向上に定評のある、日泉ケーブル(NISSEN)製の高品質なケーブル類を採用しました。インナーケーブルには、滑らかな引き心地と耐腐食性に優れるSP31スペシャルステンインナー、そしてアウターにはステンレス製ブレーキケーブルアウターとシマノ11速対応のステンレスシフトケーブルを使用。リフレッシュ後の変速・制動操作がよりダイレクトでスムーズになりました。
高精度で仕上げられたステンレスインナー。摩擦抵抗が極めて少なく、レバー操作時の引きが軽く感じられるのが特長です
一般的にアウターケーブルのコイル線はスチール製が多いですが、こちらのアウターケーブルはステンレス製でサビに強く、ポリエチレン製インナーライナーを入れているのでレバーの引きも軽いです。
スタンダードタイプのアウターに比べコイル線も太い物を採用し、11速のシビアな変速調整にも対応。
詳しくは、こちらのコスナブログ記事で紹介していますので参照してください。
▶ロードバイク引きを軽くしたいなら日泉(にっせん)ケーブル試してみて
すべての整備工程を終え、フレーム全体と各パーツが本来の性能と美しさを取り戻しました。長年の使用でくすんでいたクランクやスプロケット、リアディレイラーも見違えるほどの状態に。ヘッド周りやロゴ入りヘッドバッジも丁寧に清掃され、まるで新車のような仕上がりとなりました。
今回のオーバーホールでは単なる見た目の改善だけでなく、走行性能や操作性のリフレッシュも実現でき、安心して次のライドに出発できる状態です。
クランク本体の光沢も消え汚れが至る所に付着して固まっています。
リアディレイラーの本体は泥やホコリで汚れ歯車にも汚れの層が
日泉ケーブル(NISEN)に交換した事もあり変速がより軽くスムーズにレスポンス良く反応してくれてます。
グットスマイルレーシングのトレードマークのヘッドバッチも汚れで光沢が薄れています。
「グットスマイルレーシング」のヘッドマークが存在感を更に高めてくれています。
長年の使用でフレームの汚れなどでロゴやフレーム全体の光沢も消えています。
ダウンチューブのロゴにも艶が出て光沢が蘇りました。
組付けられたままのリアブレーキは、汚れやくすみが目立ち、細部の動きや質感にも経年使用の影響が感じられる状態でした。
再びフレームに丁寧に組み付けられたリアブレーキは、操作性・制動力ともに回復し、外観も車体全体の美しさに調和しています。
長年の汚れやほこりにより、デカール表面の光沢が失われており、印象もどこか沈んだ雰囲気に。輝きを放つ本来の存在感が感じにくくなっていました。
丁寧なクリーニングと仕上げ磨きにより、デカール表面の光沢が復活。ネームロゴが本来持つ鮮やかさと存在感を取り戻し、車体全体の印象も引き締まりました。
シートチューブの「初音ミク」と「RACING MIKU」のロゴが光り輝き蘇りました
[レーシングミク限定モデル」として大切に乗られてきたこのロードバイクも、7年の時を経て見た目・機能ともにリフレッシュ。オーバーホールによって各部の輝きが戻り、デカールや塗装面にも本来のツヤと存在感が蘇りました。まるで納車直後のような光沢とシャープな仕上がりは、バイクとの新しい付き合いを始める気持ちを呼び起こしてくれます。
今回のオーバーホールでは、長年使用された各パーツを一つ一つ丁寧に分解・洗浄・整備することで、見た目も性能も大きく回復しました。日頃のメンテナンスでは手の届きにくい部分まで徹底的に整備を行い、走行時の安心感や快適さも向上。リフレッシュされたバイクは、また新たな気持ちでライドに臨める一台へと生まれ変わったと思います。
今後の整備の参考として、少しでも多くのサイクリストに役立てていただければ幸いです。
オーナーのT様、この度は大切なロードバイクのオーバーホールをご依頼いただきありがとうございました。
見た目も機能もリフレッシュされた愛車で、これからも快適なサイクルライフをお楽しみくださいませ。
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