小田原の自転車専門店

ネジを潰さない!自転車整備がはかどるプラスドライバーの正しい使い方完全ガイド

プラスドライバー各サイズ

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整備初心者に多い「ネジ潰し」トラブル、実は道具の使い方が原因!?

この記事は、2025年5月14日に追記・更新しました。
「ネジを潰さない!自転車整備がはかどるプラスドライバーの正しい使い方完全ガイド」について反映しています。

自転車の整備でよくあるトラブルの一つが「ネジが潰れてしまう」こと。
せっかくのメンテナンスが台無しになってしまうだけでなく、パーツ交換や修理に余計な費用がかかることも…。

でも安心してください。その原因の多くは**「プラスドライバーの使い方」**にあります。
この記事では、自転車整備のプロが「正しいドライバーの選び方・持ち方・回し方」までを網羅的に解説。この記事を読めば、あなたの整備レベルがワンランクアップすること間違いなしです!

1. プラスドライバーとは?基本をおさらい

プラスドライバーは、ネジの頭部に十字の溝がある「プラスネジ」を扱うための工具で、ネジを締めたり緩めたりする工具です。自転車のパーツはもちろん、日常生活でも頻繁に使う工具ですが、意外と「正しく使えていない」方が多いのが現実です。

2. サイズ選びが第一歩!あなたのドライバーは合ってる?

プラスドライバーの各サイズ先端

一般的によく使われる(+)プラスドライバーですが、実はプラスドライバーと言っても種類もあり、ネジ穴の径に合ったドライバー工具を使用しないとネジ山を潰してしまい、最悪の場合、ネジ山をなめてしまいネジを緩めたり締めたりすることが出来なくなることがあります。
ネジのサイズに合わないドライバーは絶対NG!
小さいドライバーで大きなネジを回すと、すぐにネジ山が潰れてしまいます。
適正サイズを選ぶ目安:

  • ネジの溝にしっかりハマること
  • ドライバーを軽く押しただけで「遊び」がないこと

サイズに迷ったら、複数のドライバーで試してから作業を開始しましょう。

3.ドライバーの種類

■非貫通型と貫通型の2種類

貫通型非貫通型のプラスドライバー
上の画像が「非貫通型」で下の画像「貫通型」ドライバー
貫通型と非貫通型の柄の裏部分の違い

非貫通型(緑色)は、ドライバーの軸の部分がグリップの途中まで入っているタイプで、普通型と呼ばれています。
貫通型(赤色)は、ドライバーの軸の部分がグリップ部分を貫いてお尻部分までつながっていますので、固着したネジ等を緩めたりする時に、グリップの座金部分を叩いて衝撃を与えてネジを緩めたりもできます

■マグネット入りドライバー

プラスドライバーのマグネット入りタイプ

先端に磁気を帯びていますので、小ネジ等を落とさずに保持する事が出来るので便利です。メーカーにもよりますがVESSEL(ベッセル)ドライバーの場合「MG」と表記されています。

■ドライバー付け根が6角形

貫通型ドライバーとレンチ工具

貫通型のプラスドライバーにシャフトとグリップの付け根部分が6角形になっているものがあります。

4.用途に合ったドライバーを選ぼう

  • 非貫通型:通常の整備に◎
  • 貫通型:固着ネジ向け、ハンマー打撃OK
  • マグネット付き:小ネジ作業に便利
  • ラチェット式:長時間作業の効率アップに

プロでもシーンによって複数のドライバーを使い分けます。

5.正しい使い方とは?5つの基本ステップ

STEP1:ネジに合ったサイズを選ぶ

ドライバーサイズが合わないとネジ山を潰す原因になります。

STEP2:垂直に当てる

ドライバーをネジに対してまっすぐ当てることで力が均等に伝わります。

STEP3:「押しながら回す」が基本

力の比率は「押し込む力7:回す力3」が黄金比。

STEP4:手首で回すのではなく、腕全体で

安定した力を出せるため、ネジの破損を防げます。

STEP5:締めすぎに注意

パーツやネジの材質によっては、適正トルクで止めないと破損の原因になります。

6. 持ち方で差が出る!プロが教えるグリップのコツ

  • 力を入れすぎない
  • 手首だけで回さず、腕全体を使う

持ち方ひとつで作業時間や精度が大きく変わります。安定感が増すことで、誤ってネジを斜めに回してしまうミスも防げます。

7.押しながら回す!プロ直伝の“7:3の法則”とは?

プラスドライバーでネジを締める

プロの整備士がよく口にする「7:3の法則」とは、
ドライバー工具でネジを締める時は、ネジに対して押し込む力(垂直方向の力)が7割で、回す力(回転方向の力)が3割の「7:3の法則」が基本です!

  • 押す力:回す力 = 7:3
    この比率を意識するだけで、ネジがしっかり締まり、かつ破損を防げます。

ネジ穴に沿って直角にしっかりドライバー軸を差し込みます。差込が浅いとネジ頭をなめてしまう可能性があります。
それとネジ穴に対してドライバーが小さいとネジとの間に隙間が多く出来てしまいグラつき不安定になります。

8.固着したネジの対処法

貫通型プラスドライバーとレンチ工具で硬いネジを緩める

ネジを緩めようとしても、どうしても硬く固着して緩みにくい時は、貫通型のプラスドライバー付け根部分が6角になっていたら、そこにレンチ工具を使用して緩める方に力を加えると固着したネジが緩みやすくなると思います。

ワンポイントアドバイス
固着したネジを緩める時に、作業前に、ワコーズ ラスペネ」等の潤滑剤ケミカル商品を使用してネジ部分に浸透させて少し時間を置くとより緩みやすくなります。

貫通型プラスドライバーをハンマーでたたく

また、ネジが固着した場合、貫通型のプラスドライバーのグリップ座金部分をハンマーで叩いて瞬間的に衝撃をネジに与えることでネジが緩みやすくなります。

9.よくあるミスとその対処法

ミス内容対処法
斜めに当ててしまうドライバーを垂直に構えるクセを
サビついたネジが回らない潤滑スプレー+貫通型ドライバー
ドライバーが滑るサイズを見直す or マグネット付き使用

10.よくある質問(Q&A)

Q:どのサイズを選べばいい?

A:ネジ溝にピッタリ収まるサイズを選ぶのが鉄則です。大きすぎ・小さすぎは厳禁。

Q:ネジが空回りします。どうしたら?

A:ネジ山が潰れている可能性があります。精密ドライバーで押し込みながら慎重に回しましょう。

Q:固くて回らない時は?

A:潤滑スプレーを使い、時間をおいてから試すか、貫通型ドライバーで衝撃を加えてみましょう。

まとめ:基本をおさえるだけで整備はもっと楽しくなる!

プラスドライバーの使い方ひとつで、あなたの自転車整備は見違えるほどスムーズになります。正しいサイズ選び、持ち方、力加減——これらを意識するだけで、作業の精度もスピードも大幅アップ。

日常の点検や整備が楽しくなる第一歩を、今日から踏み出してみませんか?

今後も、皆様のサイクルライフをサポートするための情報を、これまでに公開した約600記事以上とともにコスナサイクル公式サイトにて随時発信してまいります。

投稿者プロフィール

小砂恵三
小砂恵三コスナサイクル店長
宮田工業(現在:ミヤタサイクル)での研修を得て、インショップ形式の自転車店の店長に就任。その後家業を継ぎ自転車のメンテナンス、販売に従事して35年以上。
自転車専門資格として「自転車安全整備士」「自転車技士」「スポーツBAA PLUS」「自転車組立整備士」などを保有。
現在はコーダブルームやパナソニックといったスポーツ自転車から電動アシスト自転車までを幅広くカバーするサイクルショップ、コスナサイクルを運営。