
この記事は、2025年10月19日に追記・更新しました。
「ブレーキが緩い?クロスバイクVブレーキの正しいワイヤー調整と安全チェック方法」について反映しています。
クロスバイクの魅力は、軽快な走りと反応の良さにあります。
けれど、いつの間にかブレーキレバーを深く握らないと止まらなくなった——そんな経験はありませんか。
それは「Vブレーキの引きしろ」が広がっているサインです。
この記事では、Vブレーキが緩くなる原因と、正しいワイヤー調整の方法、さらに作業後の安全確認ポイントまでを体系的に解説します。
ブレーキの効きが鈍くなると、単に“感覚の問題”と思いがちですが、そこには明確な物理的要因があります。
まず最初に確認すべきは、ブレーキシューの摩耗状態です。
シューのゴムがすり減ると、リムとの接触距離が広がり、レバーを深く引かないと制動力が得られません。
目安として、溝が新品時に比べてすり減り摩耗していたり、ほとんど消えていたら交換のタイミングです。
新品交換で効きが一気に回復することもあります。
ブレーキワイヤーは金属のケーブルです。
走行を重ねるうちに微妙に伸び、固定ボルトが緩むとレバーの引きしろが大きくなります。
新しいワイヤーは特に初期伸びが出やすく、数百km走行後に再調整が必要です。
月1回程度の点検を習慣にすると安全です。
Vブレーキのアームが片側だけ先に動いてしまうと、リムへの当たりが偏り、結果的に制動力が低下します。
左右のスプリングテンションを調整して、均等に動くようにバランスを取ることがポイントです。

ブレーキレバーの根元には、調整のための「アジャスターボルト」と「ロックナット」があります。
まずはこの位置を確認し、現在どれくらい引きしろがあるかを把握しましょう。

アジャスターボルトを手で反時計回りに少しずつ回します。
ブレーキの効きが弱い場合は、ワイヤーを張る方向(反時計回り)で微調整します。
もし、アジャスターボルトが固くて回しずらい時は、内側のナット(黒色)がレバー側にねじ込まれて固定されていると思いますので、一度ナットを反時計方向に回して少し緩めてみてください。

内側のナットで位置を固定します。
緩みを防ぐため、ボルトとナットの間にわずかな“遊び”を残して締めるのがコツです。

アジャスターボルトは回しすぎると外れることがあります。
ブレーキケーブルの微調整を行うことが出来るアジャスターボルトにも限界があります。
調整しろを回しすぎないように注意してください。
たまに見かけますのが、
お客様ご自身で調整された時に、アジャスターボルトのねじ込み限界ギリギリで使用していてネジ山をなめてしまったり、アジャスターボルトが変形して曲がった状態のがあります。
ブレーキレバー本体のスリッドが入っている側からのアジャスターボルトねじ込み具合の確認もお忘れなく。

軽く握って止まる感覚が得られれば、適正な引きしろです。

左右のアームが同時に動いているかをチェックします。
片側だけ先に動く場合は、スプリングテンションのネジを少し調整し、均等な動きを目指します。
アジャスターボルト以外でのブレーキケーブル調整方法として、Vブレーキアーチ本体のケーブル固定ナットを緩めてからブレーキケーブルを再度引っ張り調整する方法もありますが、この場合、かなりブレーキシュー本体が摩耗してすり減っている可能性が大きいですので、ブレーキシューの交換をおすすめします。
作業に必要な工具は多くありません。基本的なツールをお持ちなら十分対応できます。
ブレーキアームの固定ボルトやテンション調整に使用します。
六角レンチは5mmが一般的です。
作業時には工具が確実に噛んでいるかを確認し、ネジ山を傷めないよう注意しましょう。
ワイヤー交換を伴う場合は専用ケーブルカッター(ワイヤーカッター)が便利です。
また、ワイヤーの動きを滑らかに保つため、タイコ部分(ケーブル先端丸い形状部分)に薄くグリスを塗布しておくと受け部分の摩耗を防ぎ、錆防止にも役立ちます。
後々のメンテナンス性が向上します。
自転車が安定するようにスタンドを立て、明るい屋外または十分な照明の下で行いましょう。
ブレーキ整備は安全に直結する作業です。焦らず、落ち着いた環境で行うことが何より大切です。
不安な方は、お近くの自転車専門店にご相談することをおすすめします。
ここからは実際の調整工程です。順を追って丁寧に進めれば、初めての方でも確実にできます。
現在の状態を把握します。
レバーを握り込み、グリップに触れるまでの距離をチェック。
ブレーキアームのワイヤー固定ボルトを六角レンチで軽く緩めます。
完全に外す必要はなく、ワイヤーが前後に動く程度で十分です。
ブレーキシューがリムに軽く触れるくらいまでワイヤーを引っ張り、固定ボルトを締めます。
張りすぎると常にブレーキがかかった状態になるため、必ずホイールがスムーズに回るかを確認しましょう。
両アームが均等に動くようにスプリングテンションのネジを微調整します。
レバーを離した際、左右のシューが同時にリムから離れるのが理想です。
レバーを数回握って動作を確認します。
スムーズな戻りと適度な引きしろが得られれば成功です。
感触に違和感がある場合は、再度微調整します。
初心者がよくつまずくポイントを整理しておきましょう。
ワイヤーを張りすぎています。
固定ボルトを少し緩め、ワイヤーを1〜2mm戻して再度固定します。
細かな調整を繰り返すことが、理想のブレーキタッチを生みます。
スプリングテンションの左右バランスが崩れています。
片方が強く当たる側のネジを1/4回転ほど締め、左右の戻りを確認します。
ブレーキシューの角度や位置がずれている可能性があります。
ホイールリムに対してブレーキシュー角度は進行方向に対して僅かにハの字になるになるよう、角度を微調整してください。
※リムとブレーキシューの相性によっては異音が収まらない時がありますので、その時はブレーキシュー角度の位置を色々調整して試乗しながら確認することをおすすめします。
特に雨天走行後は汚れによる異音が出やすいので、リムサイドの清掃も忘れずに。
最後は安全確認です。ここを怠ると整備そのものが無意味になります。
ブレーキを離した状態でホイールを回し、抵抗なく回転するかを確認します。
わずかな擦れ音も見逃さず、必要に応じて再調整します。
ブレーキをかけたとき、リムの中央部に均等に当たっているかをチェック。
上にずれているとタイヤを傷め、下にずれると制動力が落ちます。
短距離走行でブレーキを何度か試し、握り始めの反応・制動力の立ち上がりを確かめましょう。
ほんの少しの違いでも安全性に大きく影響します。
常にブレーキが軽くかかった状態となり、走行抵抗が増えます。
結果としてスピードが出にくくなり、シューの摩耗も早まります。
軽く握ってしっかり止まる程度の張りが理想です。
通勤・通学で毎日乗る場合は、月に1回の点検がおすすめです。
長距離ライドや雨天走行の後は特に確認しておくと安心です。
Vブレーキは軽量でメンテナンスが容易。
一方ディスクブレーキは天候に左右されにくく制動力が高いですが、構造が複雑で専用工具が必要です。
使用環境に合わせて選択しましょう。
Vブレーキ調整のコツをつかめば、自転車整備はぐっと身近になります。
自分で整備できるようになると、走行中の小さなトラブルにも冷静に対応できるようになります。
快適なブレーキタッチは、安全で楽しいサイクリングの第一歩。
定期的な点検と調整を習慣にし、あなたのクロスバイクを最高の状態に保ちましょう。
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