小田原の自転車専門店

【副業としての自転車店について】自転車技術者協会代表の中根和弘さんに聞いてみました

 

中根さん これは販売ではなく、

自転車修理業を副業としておこなうことで、ある程度の収入を確保する人たちのことです。

 

コスナ 販売ではなく、修理を。

中根和宏さん

中根さん まだまだ手探りの状態なのですが、たとえば本当に理想的なのは、

副業によって所得などを増加させたい人を自転車店1店を中心に集めて、修理ノウハウを教え、

自宅で自転車修理をおこなうというスタイルをとることです。

 

コスナ ああー、なるほど。

ある種の修理セミナーのような。そういう考えは浮かびませんでした。

 

中根さん 修理といっても、たとえばコンポーネントの総取り替えとか、

安全性にかかわる部分はすぐにはできません。

一番多いのは、パンク修理への対応でしょう。

 

コスナ  そうですね、最近ではパンク修理、

もしくは、初期状態から使用されているタイヤが粗悪な品物であることで、

パンク修理ではなくタイヤ交換へ、という修理が圧倒的に多いです。

 

中根さん こちらも全国で同じような状態です。

そして、パンク修理については、慣れてくればセルフで修理のできる部分です。

既存の後継者のいない自転車店が、

店舗の周囲で副業として自転車修理をおこなう人を集めて修理方法をレクチャーし、

そうしてある程度熟達したところで、

彼らが自宅で、まずは近所の人を対象に修理をしていくことができれば、ベストですね。

 

コスナ 1箇所の自転車店を中心に、周囲に波及させていくんですね。

 

中根さん 修理を受ける中で、気をつけなければいけないのは時間です。

我々、修理になれている人間であれば10分ほどで終了するものでも、

新人では時間がかかってしまう。

そんなときは、技術提供側の自転車店に相談して、

アドバイスや、修理代行を依頼する時間をあらかじめ加味して車両を預かる。

また、アドバイスや修理代行を依頼できるシステムを私たちが構築してあげる。

そうして、消費者に対して事故の起こらない環境を整えつつ、徐々に技術継承をおこなっていく。

業界や仕事が合うと感じる人は自分で店舗を出すこともいいでしょう。

とにかく、技術を絶やすことなく、広めていかなくては、

そもそも自転車修理という行為自体がなくなっていってしまう。

 

コスナ たとえば、店舗側からするとそれでは自分たちの仕事が少なくなる、という声も上がりそうです。

中根和宏さん 小砂恵三

中根さん いえ、店舗側は、個人ではなく法人などを対象にしたお仕事のネットワークを整備するという方法があります。

法人というのは、たとえばマンションのシェアバイク、営業車としての使用などで、

こういった車両は定期整備が必要な上に、減少するどころか需要が増加しています。

TSマークなどを活用することで、いわゆる車検のように、1年に1度は点検と修理を行う仕組みが浸透すれば、

企業側はより安全に、自転車店側は収入の見込みがたつ定期案件としてWin-Winな関係を築くことができます。

それに、そもそも修理難民となっている人を対象に技術継承者が修理をおこなうということは、

店舗側の商圏の範囲内にお客さんがいない、ということです。

だから、視点をずらして考えれば、住み分けはハッキリとします。

 

コスナ たしかにそうですね。いわばフランチャイズのような形で、

のれん分けというほどではありませんが、後継者に変わるような人を育てていく。

自転車店側は、法人を対象としたり、副業で修理をおこなう人たちでは手がけられない

高度な修理を請け負っていく。

 

中根さん このままなにもしなければ、自転車修理にかかわるものはなくなってしまうかもしれません。

だからこそ、なにかアクションを起こすことが大切です。

今設立を急ぐ協会では、たとえば法人の仕事を全国を対象に営業をかけて、

協会加盟者で振り分けるとか、

副業に自転車店を開く人と、

店舗側がシームレスにやりとりをおこなう方法を構築するなど、

この方法を拡大させるための下準備を推進したい、

という考えがあります。

 

コスナ 実際に町単位で自転車店がゼロになっている地区もあります。

そういった意味で、技術を残すための施策をうつというのはなくてはならない部分ですね。

店舗側には大きなメリットを感じます。副業として自転車修理を始める人には、

どのようなメリットがあるのでしょうか。