
自転車に乗っていると、
いつの間にかチェーンが黒くなり、触ると指まで汚れてしまう。
そんな経験は、多くの方が一度はあると思います。
拭いてみてもスッキリしない。
洗ったほうがいい気もするけれど、
水をかけていいのかは分からない。
クリーナーも種類が多く、
何をどう使えばいいのか迷ってしまう。
チェーン掃除は、やり方を間違えなければ難しい作業ではありません。
ただし、順番や使い方を誤ると、汚れが残ったり、走りが重くなったりと、かえって逆効果になることもあります。
ここでは、
当店コスナサイクルで日常的に行っているチェーンメンテナンスの考え方をもとに、
ワコーズのクリーナー2点(チェーンクリーナーとフォーミングマルチクリーナー)を使った、失敗しにくく再現しやすいチェーン掃除の手順を整理しました。
「どこまで汚れを落とせばいいのか」
「掃除のあとに必ずやるべきことは何か」
そうした細かな疑問も、作業の流れの中で自然に分かる構成になっています。
チェーンがきれいになると、音が静かになり、ペダルの回りも軽く感じられます。
日々の移動やサイクリングを、今より少し気持ちよくするための参考になれば幸いです。
チェーンは、自転車の中でも特に汚れやすいパーツです。
走行中に付着した砂やホコリに、潤滑油が混ざることで、黒い汚れとして蓄積していきます。
この汚れを放置すると、見た目が悪くなるだけでなく、走行性能にも影響が出てきます。
チェーンが汚れた状態のまま使い続けると、 ペダルを回したときに音が出たり、回転が重く感じられたりします。
また、汚れが研磨剤のような役割をしてしまい、 チェーンやスプロケットの摩耗を早める原因にもなります。
汚れを長期間放置すると、 チェーンが固くなったり、動きが悪くなったりすることがあります。
定期的に掃除をすることで、 トラブルを防ぎ、部品を長持ちさせることにつながります。
作業を始める前に、いくつか押さえておきたい基本があります。
これを知っているだけで、失敗のリスクを大きく減らせます。
普段の街乗りであれば、 チェーンが黒くなってきたと感じたタイミングで十分です。
雨の日に走ったあとや、 砂ぼこりの多い場所を走ったあとは、早めの掃除がおすすめです。
特別な工具は必要ありません。 身近なものだけで作業できます。
強くこすりすぎたり、 必要以上に何度も洗浄したりするのは逆効果です。
また、掃除後に注油を忘れると、 チェーンの動きが悪くなってしまいます。

チェーン掃除をスムーズに行うためには、 使用するクリーナーの特徴をあらかじめ理解しておくことが大切です。
ここでは、今回の作業で使用する ワコーズ・チェーンクリーナーとワコーズ・フォーミングマルチクリーナーについて、 役割と使いどころを分かりやすく整理します。
ワコーズのチェーンクリーナーは、 強い洗浄力を持ちながらも、 金属・ゴム・プラスチックなどの素材に配慮して設計された 非乾燥タイプの生分解性洗浄スプレーです。
チェーンやスプロケットに付着した 油汚れや砂、ホコリをしっかり浮かせて落としつつ、 素材を傷めにくいのが特徴です。
また、防錆成分が配合されているため、 洗浄後にサビが発生しにくい点も、 日常メンテナンスで使いやすい理由のひとつです。
チェーンの油汚れを落とす作業では、 基本となるメインのクリーナーとして使用します。
フォーミングマルチクリーナーは、 弱アルカリ性の洗浄スプレーで、 噴射すると泡状になるのが特徴です。
泡が汚れにしっかりと付着し、 浸透しながら「泡の力」で汚れを浮かび上がらせます。
チェーンだけでなく、 フレームや周辺パーツなど、 幅広い箇所に使える汎用性の高さも魅力です。
水で洗い流す必要はなく、 浮き上がった汚れをウエスで拭き取るだけで、 すっきりと仕上げることができます。
チェーン掃除では、 細かい部分の汚れや、 仕上げの拭き取り工程で活躍します。
チェーン掃除は、 「汚れを浮かせる → 取り除く → 乾かす」 この流れを守るだけで、仕上がりが大きく変わります。
ここでは、ワコーズのチェーンクリーナーを使った、 失敗しにくい基本的な手順を順番に説明します。

まずは、チェーン全体にチェーンクリーナーを吹きかけます。
ポイントは、 一気に大量にかけないことです。
ペダルをゆっくり逆回転させながら、 チェーンの内側を中心に、少しずつスプレーしていきます。
汚れがひどい部分は、 クリーナーをかけたあと、10〜20秒ほどそのままにしておくと、 油汚れが浮きやすくなります。
また、この時汚れが垂れますので、床が汚れないように布等を敷いてください。

スプレー後は、 ワコーズ・チェーンクリーナーに付属しているブラシを使って、 チェーンの汚れをやさしくかき出します。
このとき重要なのが、ブラシの向きです。
画像のように、 必ずチェーンの流れに沿わせる向きでブラッシングしてください。
チェーンを横切るようにブラシを当てると、 汚れは落ちにくく、 無理な力がかかってしまうことがあります。
力を入れる必要はありません。 ペダルを逆回転させながら、 ブラシを軽く当てるだけで、 浮いた汚れが自然に落ちていきます。

ブラシで汚れをかき出したあとは、 一度ウエスを使ってチェーン表面の汚れを拭き取ります。
この工程は、 次に行う仕上げの洗浄作業をスムーズにするための大切な下準備です。
チェーンに付着した汚れや、 チェーンクリーナーの洗浄液をここである程度取り除いておくことで、 このあとの作業効率が大きく変わります。
ウエスが汚れたら、 きれいな面に持ち替えながら、 軽く押さえるように拭き取ってください。

チェーンを拭き取る作業とあわせて行いたいのが、 スプロケット(後ろのギア)の掃除です。
チェーンと常に噛み合っているスプロケットには、 油汚れや砂、ホコリが溜まりやすく、 ここが汚れたままだと、せっかくチェーンをきれいにしても効果が半減してしまいます。
スプロケットも、 先ほどと同じようにチェーンクリーナーをスプレーし、 ブラシで歯の間を軽くブラッシングして汚れを浮かせます。
全体にスプレーしにくい場合は、 ブラシ側にクリーナーを吹きかけてから作業しても問題ありません。
汚れが浮いてきたら、 布やウエスの端を細く折り、 スプロケットの歯と歯の隙間に差し込むようにして汚れをかき出します。
この作業を行うと、 見た目以上に汚れが溜まっていることが分かり、 布には黒い汚れがしっかり付着します。

チェーンの汚れがある程度落ちたら、 次にすすぎと仕上げの洗浄を行います。
通常であれば水ですすぐ工程ですが、 今回は、水が使えない場所での作業にも対応できるよう、 フォーミングマルチクリーナーを使用します。
フォーミングマルチクリーナーをチェーン全体に噴射し、 泡が汚れに浸透して浮き上がってくるまで、 少し時間を置きます。
この間に、 フレームやギア周辺にも軽くスプレーしておくと、 他のパーツも同時にきれいにできます。
汚れが浮いてきたら、 ウエスで大まかな汚れと洗浄液を拭き取ります。
泡状のクリーナーが細かな隙間まで行き渡るため、 水で洗い流さなくても、 汚れをしっかり落とすことができます。
最後に、 乾いたウエスでチェーン全体を拭き上げ、 汚れと洗浄成分が残らないようにして仕上げます。
次に、ウエスでチェーンを包み込み、 ペダルを逆回転させながら汚れを拭き取ります。
クリーナーで浮いた汚れを、 きちんと拭き取ることが大切です。

スプロケット掃除が完了すると、 歯と歯の隙間に詰まっていた汚れが取り除かれ、 見た目もすっきりします。
ここまで行うことで、 チェーンとの噛み合いが良くなり、 走行時の音鳴りや違和感の軽減にもつながります。
チェーン掃除とあわせて行うことで、 駆動部分全体を良い状態に保ちやすくなります。
拭き取りが終わったら、 すぐに注油せず、少し時間を置いて乾かします。
触っても指が濡れない状態になれば問題ありません。

チェーン掃除に使うケミカルとして、 ワコーズのBC-9(速乾)を見かけたことがある方も多いと思います。
ただし、BC-9はチェーンクリーナーとは性質が異なるため、 使いどころを間違えないことが大切です。
BC-9は、油分を強力に落とすためのクリーナーです。
金属パーツの脱脂や、頑固な汚れを落としたい場面で力を発揮します。
一方で、洗浄力が強いため、 頻繁に使いすぎると、必要な油分まで落としてしまうことがあります。
チェーンに使う場合は、 「どうしても汚れが落ちない部分だけ」に限定するのが無難です。
また、噴射力が強いため、 作業時は汚れや洗浄液が周囲に飛び散らないよう注意してください。
新聞紙やウエスを当てながら作業すると、 安全かつ周囲を汚さずに使えます。
チェーンクリーナーは、 チェーン掃除を前提に作られており、 汚れを落としつつ、素材への影響を抑えた設計になっています。
一方、BC-9は万能型のクリーナーです。
便利ではありますが、 常用するものではないと考えておくと失敗しにくくなります。
基本はチェーンクリーナーを使い、 補助的にBC-9を使う、 この使い分けがおすすめです。

チェーン掃除が完了した状態では、 表面の黒い汚れやベタつきがなくなり、 金属本来の状態が確認できるようになります。
この段階では、 「必要以上に白くなっていない」「乾きすぎていない」ことが大切です。
過度に洗浄しすぎていない、 日常メンテナンスとして適切な仕上がりかどうかを、 ここで一度確認しておきましょう。
この状態になったら、 次はチェーンを保護するための注油作業に進みます。
チェーンをきれいに掃除したあとは、 必ず注油を行い、チェーン内部を保護することが重要です。
どの潤滑剤やチェーンオイルを選べばよいか迷う場合は、 当店ブログ内の 「自転車用潤滑剤とチェーンオイルは『WAKO’S(ワコーズ)』ラスペネとチェーンルブがおすすめ」 の記事も参考にしてみてください。
用途ごとの使い分けや、 日常メンテナンスでの考え方を、 分かりやすく解説しています。
チェーン掃除は、 汚れを落としただけでは完了ではありません。
掃除のあとに行う注油が、 走りの軽さや部品の寿命を大きく左右します。
洗浄後のチェーンは、 油分がほとんど残っていない状態です。
そのまま走行すると、 音鳴りが出たり、摩耗が早まったりする原因になります。
必ず、掃除のあとは注油を行いましょう。
注油は、多ければ良いというものではありません。
チェーン1コマずつに、 少量ずつオイルを垂らしていくのが基本です。
ペダルをゆっくり回しながら作業すると、 ムラなく注油できます。
注油が終わったら、 ウエスで表面の余分なオイルを拭き取ります。
このひと手間を省くと、 ホコリや汚れが付きやすくなってしまいます。
見た目がしっとりする程度まで拭き取れば、 問題ありません。
ここでは、チェーン掃除について 実際によく聞かれる質問をまとめました。
初めて作業する方は、 掃除前に一度目を通しておくと安心です。
普段の街乗りであれば、 チェーンが黒くなってきたと感じたタイミングが目安です。
目安としては、 1〜2か月に一度程度で十分な場合が多いです。
雨の日に走ったあとや、 砂ぼこりの多い場所を走ったあとは、 少し早めに掃除すると状態を保ちやすくなります。
必ずしも、毎回クリーナーを使う必要はありません。
軽い汚れであれば、 ウエスで拭き取るだけでも問題ありません。
汚れが目立ってきたときに、 クリーナーを使う、 この使い分けがおすすめです。
チェーン掃除に使うクリーナーは、 臭いが出たり、成分が周囲に広がったりすることがあります。
そのため当店では、 必ず屋外で作業することをおすすめしています。
室内で行うと、 臭いがこもったり、十分な換気ができなかったりする可能性があり、 安全面の不安が残ります。
ベランダであっても、 周囲への影響や風向きには注意し、 可能であれば屋外の開けた場所で作業すると安心です。
掃除と注油が終わっていれば、 基本的には問題ありません。
ただし、注油直後はオイルがなじんでいないため、 可能であれば数分置いてから走り出すと安心です。
チェーン掃除は、 きれいにしようとするあまり、 何度も洗浄を繰り返してしまうケースがあります。
必要以上に洗浄を行うと、 チェーン内部の油分まで落ちてしまい、 かえって摩耗を早める原因になることがあります。
汚れの状態を見ながら、 「落としすぎない」ことを意識するのも、 チェーンを長持ちさせるポイントのひとつです。
チェーン掃除の基本的な流れは、 どの自転車でも大きく変わることはありません。
ただし、使い方や環境によって、 意識しておきたいポイントには違いがあります。
ロードバイクは、 比較的きれいな舗装路を走ることが多く、 チェーンの汚れも軽めな傾向があります。
そのため、 毎回クリーナーを使う必要はなく、 汚れ具合を見ながら拭き取り中心で対応するのも一つの方法です。
汚れが目立つときだけ、 今回紹介している洗浄手順を行うと、 状態を保ちやすくなります。
クロスバイクは、 通勤や街乗りなど、 使用環境が幅広いのが特徴です。
雨の日や、 砂ぼこりの多い道を走る機会も多いため、 チェーンが汚れやすい傾向があります。
音鳴りや重さを感じたら、 早めに掃除を行うことで、 快適さを保ちやすくなります。
チェーン掃除は、 一度きれいにして終わりではなく、 続けることが大切です。
無理なく続けるための、 ちょっとしたコツを紹介します。
走行後に、 ウエスで軽くチェーンを拭くだけでも、 汚れの蓄積を抑えることができます。
このひと手間が、 本格的な掃除の頻度を減らしてくれます。
「音が気になったとき」 「雨の日に走ったあと」など、 自分なりの基準を決めておくと、 掃除を後回しにしにくくなります。
チェーン掃除は、 特別な道具や技術がなくても、 ポイントを押さえれば誰でも行えます。
汚れを落とし、 適切に注油するだけで、 走行中の音やペダルの回りが大きく変わります。
無理に完璧を目指す必要はありません。 できる範囲で、 定期的に手入れを続けてみてください。
その積み重ねが、 自転車を長く、 気持ちよく使い続けることにつながります。
