こんにちは、コスナブログ編集部です。
自転車のセルフメンテナンスというと、どのような作業を思い浮かべるでしょうか。
ワイヤー系などの消耗品の交換、チューブ交換、チェーン周りのクリーニングなどが多いかもしれませんね。
しかし、コスナサイクルの推奨する最初に覚えるべきメンテナンスは「から拭き」です。
WEBで調べると、自転車の保護を目的とするメンテナンスではコーティング剤に関する記事がよく見受けられます。
コスナサイクルでもフレームをガラスコーティングするメンテナンス方法を紹介したことがあります。
コーティングは道路上の汚れや汗などの水分、場合によっては海沿いを走行することで付着する海水や、酸性雨、温泉地の硫黄など、さまざまな外的環境からくるエラーを防いでくれます。
当店でもフレームへのダメージが大きい車両では修理を実施せずに、買い替えをご検討いただいたほうが費用が小さくて済むことがほとんどで、フレームの保護は非常に大切です。
そしてこのフレームの保護を目的とするコーティング剤ですが、たとえばチェーンオイルなどが付着するとコーティング自体を痛めてしまったり、はがしてしまったりします。
そのため、フレームを保護すると一口に言ってもどのようなケミカル製品を使用するか、どのように使用するか、ほかのケミカル製品との組み合わせはどうするか、といった部分がよくピックアップされます。
コーティング剤自体もフレームの中でこの部分に使用してはダメ、この部分は使用しても大丈夫といった注意事項があるため、初心者〜中級者であればショップに依頼することも多いでしょう。
ただしコーティング作業は毎日おこなうようなものではありません。
フレームの保護でコーティングを第一に説明するのはややオーバーで、商売的すぎることがあります。
もっと手軽に、毎日行えて、費用もほとんどかからない、非常に大きな効果をもたらす自転車メンテナンスの方法があります。
それが「から拭き」です。
当店でも、修理でお預かりした自転車にサービスでから拭きを実施しています(修理が立て込んでいる場合には実施できないこともあります)。
先述のとおり、通常ケミカル製品を使用してフレームを拭くとなると、オイルなどを使用するとコーティングを痛めたり、相性のよくないケミカル製品を使用してコーティングを剥がしてしまったりしないよう、注意しなければいけません。
しかし、から拭きの場合は問題ありません。
なにせケミカル製品はなにも使用していないので、どのような自転車であってもすべてから拭きすることができます。
唯一気をつけるのは、から拭きをするタオルなどの素材です。
当たり前ですがメラミンスポンジのようなものはNGです。やわらかい、人間の皮膚に使用できるものがいいでしょう。フェイスタオルなどでもいいですね。
当店でもフェイスタオルを使用しています。
いつもメンテナンスに使用しているタオルではオイルやグリスなどが付着していることがあるので、ほかメンテナンスに使用していないものがいいでしょう。
やりかたは簡単です。拭くだけ。
手軽ですね。水もいりません。から拭きのみです。
しかし、当店でから拭きをするとお客さまから驚かれることがあります。
なかには「コーティングしてもらったありがとうございます」というお声をいただくこともあります。
いえいえ、から拭きだけです。
少しだけコツがあるとすれば、1回拭くだけではなく、磨くことでしょうか。
そもそも自転車を拭かなければいけない状態とはどのようなものでしょうか。
おそらく、全体を見たときに「なんだかくすんでいるな」「光沢がなくなってきた」「水が跳ねた跡がついている」「砂やホコリが一部積もっている」などと感じたときでしょう。
そして、これらの症状は単純にホコリが自転車につもっているだけ、ということはあまりありません。
なぜなら、自転車の走行環境は屋外だからです。
車道を舞い上がるホコリは、車のタイヤの削れた粒子や排ガスなどが付着したもの、海の近くであれば海水の成分、雨の成分なども付着しています。コスナサイクルは温泉地である箱根の近くでもあります。硫黄などの成分も混じっているかもしれませんね。
こういったホコリは、ただ自転車に積もるのではなく、車体にくっつくような状態になるようです。
そのため、どのような素材であっても、サッと拭くだけではしっかりと除去できません。
目に見えるホコリだけではなく、付着しているものもしっかりと拭き上げなくてはいけないのです。
実際にホコリなどが付着している車両です。かなり汚れがついていますね。
では、つぎにから拭きで磨いてみます。
光沢や艶が戻ってきました。
これがから拭きの基本です。力を入れすぎるとフレームのコーティングによくありません。また、Vブレーキのアーチやディレイラーなど、力を入れすぎると調整がずれてしまう部分もあります。
イメージとしては革靴を磨く程度の力と言えるでしょうか。
自転車は、スポーツ、電動、折りたたみやミニベロ問わず、細かなパーツが数多く使用されています。
このパーツ類の隙間などに汚れが溜まりやすいのです。
しかも、隙間からサビなども発生しやすく、後のトラブルに発展しやすいのもこういった部分です。
ただ、から拭きしようとしても指が届かない、手が入らない、タオルは当てられても磨けるほど力が入らない、という場合があります。
やってみると分かりますが、本当に、どれだけがんばってもできないのです 笑。
そこで試していただきたいのが、画像のような持ち方です。
タオルをパーツの隙間に入れて、上下、もしくは左右にこするようなイメージです。
まさに、革靴を磨く際に見られる拭き方ですね。
革ほどデリケートではないので、慣れていない方でもこの拭き方で大丈夫です。
こうすると、指や手で妙な力を入れずに済むので、体の負担的にも自転車の負担的にもいいですね。
しっかりとこすることでかなりキレイにすることができます。
この作業でとれない汚れであれば別途ケミカル製品を使用して除去する必要がでてきます。
判断の基準にもなりますね。
ローラーブレーキも、
同じ方法で磨けば、
キレイにすることができます。
以上が、から拭きの基本です。
おそらく、多くのショップでコーティング剤やパーツクリーナーの説明を受けると思いますが、実はから拭きこそメンテナンスの基本です。
まだやったことがない方がいれば、ぜひ一度試してみてください。
非常にいい効果が得られるはずです。